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僕の大切な黒猫
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「兄さん、そろそろ帰ろうか。」
僕の声が聞こえてるくせに、兄さんは返事もしないで寝転んで、赤く染まった空をみつめてた。
(……勝手にしろ!)
僕は心の中で悪態を吐いて、片付けに取りかかる。
今日も兄さんは少しも働かなかった。
家を出てから、あとはずっと畑の片隅でふて寝だ。
兄さんは、都会に出たいんだ。
都会に行って、会社勤めをしてみたいって夢があって、それを両親に話したんだけど、当然、聞いてはもらえない。
僕らの家は、ここらではちょっとは名の通った農家で、しかも、兄さんは長男だ。
そんなことを聞いてもらえるわけがない。
兄さんも最初からわかってただろうけど、それでも言ってみたってことは、本気だったってことだとは思うんだ。
だけど、だめだって言われて……
それからの兄さんは、すっかり不貞腐れて、家でも一言も喋らないし、仕事も全くしなくなった。
最初は僕も兄さんに同情してたけど、最近ではちょっと腹が立っている。
僕にあたることないじゃないか。
どうしても都会に行きたいなら、不貞腐れたりせず、何度でも父さん達と話し合うべきなんだ!
「兄さん、そろそろ帰ろうか。」
僕の声が聞こえてるくせに、兄さんは返事もしないで寝転んで、赤く染まった空をみつめてた。
(……勝手にしろ!)
僕は心の中で悪態を吐いて、片付けに取りかかる。
今日も兄さんは少しも働かなかった。
家を出てから、あとはずっと畑の片隅でふて寝だ。
兄さんは、都会に出たいんだ。
都会に行って、会社勤めをしてみたいって夢があって、それを両親に話したんだけど、当然、聞いてはもらえない。
僕らの家は、ここらではちょっとは名の通った農家で、しかも、兄さんは長男だ。
そんなことを聞いてもらえるわけがない。
兄さんも最初からわかってただろうけど、それでも言ってみたってことは、本気だったってことだとは思うんだ。
だけど、だめだって言われて……
それからの兄さんは、すっかり不貞腐れて、家でも一言も喋らないし、仕事も全くしなくなった。
最初は僕も兄さんに同情してたけど、最近ではちょっと腹が立っている。
僕にあたることないじゃないか。
どうしても都会に行きたいなら、不貞腐れたりせず、何度でも父さん達と話し合うべきなんだ!
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