あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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年明け島にようこそ!

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その手紙が皆の元に届いたのは年も押し迫った頃だった。
一枚の地図と共に、添えられた短い手紙にはこう書いてあった。



『新しい年の幕明けにのみ現れる不思議な島があり、その島にはたいそう素晴らしい宝がある。
宝をみつけたら、すぐに狼煙を上げること。』



差し出し人の名前はなく、文章もあまりにも簡単だ。
そのことから、手紙をただの悪戯として破り捨てた者も少なくはなかった。
そうでなくとも、宝や島に関心を示さない者や他に用がありそんな所には行けないという者等も多く、島に現れたのはほんの一握りの者だけだった。



海は静かで波も立たない。
空には大きな月が遮るものなく優しく輝き、そのおかげで夜の海もそう危険には見えなかった。
各自はぎこちない手付きで小舟を操る。



やがて、海の向こう側から太陽が顔を出し始めた途端…
地図に記された何もなかったその場所にうっすらとした輪郭が映し出され、太陽が昇るにつれ、その姿ははっきりとしたものに変わっていった。



あの手紙は悪戯などではなかったという確信が、皆の心に大きな希望の光が灯し、それぞれの思惑を胸に、各自、思い思いの場所から島に上陸した。 
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