あれこれ短編集

ルカ(聖夜月ルカ)

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聖夜の鐘

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「……レイラ…寒いかもしれないけど、今夜は外で過ごさない?
せっかくのクリスマスイヴだもの…」

エディの言葉に、レイラは一瞬戸惑ったような表情を浮かべたかと思うと、すぐにおかしそうに微笑んだ。



「どうしてクリスマスイヴだと外なの?変なこと言うのね。
でも……私もその方が良いわ。
今日は町は人でいっぱいでしょうからね。
騒がしい所より、静かな所で過ごしたいと思ってたの。
……エディ……実は、私…あの鐘を鳴らしに行きたいの。」

「あの鐘……」

エディの視線は、遠い昔の何かを思い出すように宙をさ迷う。




「忘れちゃったの?」

「……馬鹿だな。
忘れるわけないだろ。」

不安そうな顔を向けたレイラに、エディは優しく微笑んだ。



「良かった!!……私、今日、あなたと出会えたら、どうしてもあの鐘を鳴らしたかったの。」

レイラの顔に輝くような笑顔が宿る。









「レイラ、僕、待ってるからね。」

「……そんなこと言って…
あなたは、その頃にはあなたは私のことなんて忘れてるに決まってるわ。
絶対そうよ!」

「……そりゃあ、十年も先のことなんて誰にもわからない。
大人達が言うように、お互い他の人を好きになってるかもしれない。
でも……僕はきっと行くと思うよ。
それに、君だってきっと来てくれる…僕はそう信じてる。」



その時、発車を知らせるベルの音がホームにけたたましく響き渡った。



「待ってるよ、レイラ!
絶対に…!」

「エディ…!」

列車の窓から身を乗り出すようにして、大きく手を振るエディは晴れ晴れしい顔をしていた。



(エディの馬鹿…
あなたは寂しくないの?辛くないの?
遠く離れ離れになるっていうのに、どうしてそんな平気な顔してられるの…!?)

悔しさと悲しさで、レイラの瞳からは熱い涙がこぼれ落ちた。

 
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