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輝ける人生
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「な、何者だ!」
「ま、待って下さい!
まずは、その物騒なものを納めてください。
私は、怪しいものではありません。
ただのイスです。
実は、お腹が減って死にそうなのです。
あなた様がお腰につけられているそのきびだんごを一つ分けていただけないでしょうか?」
「これを…?
しかし、これは鬼退治に行くまでの大事な食料…」
桃太郎は、おばあさんが作ってくれた大事なきびだんごをみつめました。
「それなら心配には及びません。
鬼が島に着くまでには茶店も食堂も商店街もございます。」
「ならば、おまえもそこで買ったらどうだ?」
「私はきっとそこへ着くまでに腹が減りすぎて死んでしまいます。
それに…私はお金を持っていないのです…」
イスは哀しそうな声でそう話しました。
「そうか…ならば仕方がない。
では、このきびだんごをやるが、その代わりにおまえも鬼退治に加勢するのだ。
良いな?」
きびだんごひとつで、鬼退治のお供とは分が悪い。
いくらなんでもそんな条件を飲む者はいないだろうと思いながら、普通の神様はその様子を見ていました。
「ほ、本当ですか!
あ、ありがとうございます!」
普通の神様の予想に反し、簡単に話がまとまりました。
ずっこける神様に桃太郎は気付く筈もなく、きびだんごを差し出しましたが、その途端、桃太郎は困惑したような顔を浮かべました。
なぜなら、そのイスにはだんごを受け取る手もなければ、だんごを食べる口もないのです。
「おまえ……どうやってこの団子を食べるのだ?」
桃太郎は、頭に浮かんだ疑問をストレートにぶつけました。
「そこにだんごを置いて、しばらく後ろを向いていて下さい。
良いですか?私が良いと言うまで…絶対に、振り返ってはいけませんよ。」
その声はまるで地の底から響くような無気味なものでした。
桃太郎はイスに言われた通り、くるりと後ろを向きました。
後ろからは、なにやらむしゃむしゃと言う音が聞こえています。
『おぉーーー!』
二人の神様は、その光景に思わず声を上げました。
(……おかしい…
あんな生き物は見た事がないが…あれは、あやかしの一種なのだろうか?)
普通の神様は密かに悩みました。
しかし、桃太郎は、さすがに自分も桃から産まれただけあって、そのおかしな生き物に対してもさして疑問を感じていないようでした。
桃太郎とイスが歩いていると、突然、二人の目の前になにやら丸いものが飛び出して来ました。
「な、なに奴…!
……なんだ、ザルか…」
桃太郎は咄嗟に引き抜いた刀を鞘におさめました。
「あの~…」
不意に聞こえた声に、桃太郎とイスはあたりを見渡しました。
しかし、周りには人っ子一人いません。
「ま、待って下さい!
まずは、その物騒なものを納めてください。
私は、怪しいものではありません。
ただのイスです。
実は、お腹が減って死にそうなのです。
あなた様がお腰につけられているそのきびだんごを一つ分けていただけないでしょうか?」
「これを…?
しかし、これは鬼退治に行くまでの大事な食料…」
桃太郎は、おばあさんが作ってくれた大事なきびだんごをみつめました。
「それなら心配には及びません。
鬼が島に着くまでには茶店も食堂も商店街もございます。」
「ならば、おまえもそこで買ったらどうだ?」
「私はきっとそこへ着くまでに腹が減りすぎて死んでしまいます。
それに…私はお金を持っていないのです…」
イスは哀しそうな声でそう話しました。
「そうか…ならば仕方がない。
では、このきびだんごをやるが、その代わりにおまえも鬼退治に加勢するのだ。
良いな?」
きびだんごひとつで、鬼退治のお供とは分が悪い。
いくらなんでもそんな条件を飲む者はいないだろうと思いながら、普通の神様はその様子を見ていました。
「ほ、本当ですか!
あ、ありがとうございます!」
普通の神様の予想に反し、簡単に話がまとまりました。
ずっこける神様に桃太郎は気付く筈もなく、きびだんごを差し出しましたが、その途端、桃太郎は困惑したような顔を浮かべました。
なぜなら、そのイスにはだんごを受け取る手もなければ、だんごを食べる口もないのです。
「おまえ……どうやってこの団子を食べるのだ?」
桃太郎は、頭に浮かんだ疑問をストレートにぶつけました。
「そこにだんごを置いて、しばらく後ろを向いていて下さい。
良いですか?私が良いと言うまで…絶対に、振り返ってはいけませんよ。」
その声はまるで地の底から響くような無気味なものでした。
桃太郎はイスに言われた通り、くるりと後ろを向きました。
後ろからは、なにやらむしゃむしゃと言う音が聞こえています。
『おぉーーー!』
二人の神様は、その光景に思わず声を上げました。
(……おかしい…
あんな生き物は見た事がないが…あれは、あやかしの一種なのだろうか?)
普通の神様は密かに悩みました。
しかし、桃太郎は、さすがに自分も桃から産まれただけあって、そのおかしな生き物に対してもさして疑問を感じていないようでした。
桃太郎とイスが歩いていると、突然、二人の目の前になにやら丸いものが飛び出して来ました。
「な、なに奴…!
……なんだ、ザルか…」
桃太郎は咄嗟に引き抜いた刀を鞘におさめました。
「あの~…」
不意に聞こえた声に、桃太郎とイスはあたりを見渡しました。
しかし、周りには人っ子一人いません。
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