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accident
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「僕が先に生まれたのが間違いだったんだよ。」
「……どういうことですか?」
「那月が先に生まれてたら、何の問題もなかったんだ。
そしたら、仕事だってあいつが継いだだろうし、その方が会社にとっても良かったんだ。」
「え?でも、那月さんは仕事が嫌いだって…」
私がそう言うと、優紀さんはそれを鼻で笑った。
「そんなの嘘だよ。
あいつはうちの仕事が好きだ。
でも、継がなかったのは……僕のためだよ。」
「優紀さんの…ため?」
「そう、あいつはああ見えて古風なところがあるからね。
親の仕事は兄が継ぐものだと考えている。
それに、僕みたいな人間は他所に行ってもたいした仕事が出来ないことはわかってる。
実家の仕事を継ぐのが僕にとっては一番良いことだから…そう思ってるから、自分は身を引いたんだよ。
あいつは子供の頃からいつも僕のことを一番に考えてくれている。
自分のことを犠牲にしてまで…
……馬鹿だよ。」
優紀さんの話は衝撃的だった。
那月さんは、本当に親の言いなりになるのがいやで、それで実家の仕事をしないのかと思ってたけど、それが優紀さんのためだったなんて…
確かに、今も那月さんは自分の資産を投げ打って、優紀さんを助けようとしている。
そこまで優紀さんへの愛が深いなんて、しかも、昔からずっとそうだったなんて、すごく意外だよ。
結婚相手なんて誰でも良いっていうドライな那月さんと、お兄さん想いの優しい那月さん…
(一体、どっちが本当の那月さんなんだろう…!?)
「……どういうことですか?」
「那月が先に生まれてたら、何の問題もなかったんだ。
そしたら、仕事だってあいつが継いだだろうし、その方が会社にとっても良かったんだ。」
「え?でも、那月さんは仕事が嫌いだって…」
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「そんなの嘘だよ。
あいつはうちの仕事が好きだ。
でも、継がなかったのは……僕のためだよ。」
「優紀さんの…ため?」
「そう、あいつはああ見えて古風なところがあるからね。
親の仕事は兄が継ぐものだと考えている。
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あいつは子供の頃からいつも僕のことを一番に考えてくれている。
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……馬鹿だよ。」
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那月さんは、本当に親の言いなりになるのがいやで、それで実家の仕事をしないのかと思ってたけど、それが優紀さんのためだったなんて…
確かに、今も那月さんは自分の資産を投げ打って、優紀さんを助けようとしている。
そこまで優紀さんへの愛が深いなんて、しかも、昔からずっとそうだったなんて、すごく意外だよ。
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