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miracle

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占い師を募集しているお店を探し、何軒かに面接に行ったけど、地味で個性がなく、キャリアもなければ、元々人見知りという私が採用される道理はなかった。
 私もさすがに対面の仕事は無理だと感じ、ネットの占いサイトに登録した。
だけど、私は、人見知りで話下手な上に、文章を書くのも苦手だった。
アピール力がなさすぎる文章のせいか、依頼は滅多に来ない。
いや、名もない駆け出しの占い師に依頼をして来る酔狂な人なんて、いないのも当然だ。
 考えればすぐにわかりそうなことなのに、そんなことにも私は気付かなかった。
しかも、たまたま来た依頼者にも、『意味が良くわからなかった』なんて感想を書かれてしまう始末…
私は、占いの結果さえ、うまく表現出来ない未熟者だったのだ。



そんな現実に直面した時には、すでにお金もなくなっていた。
 母の入院費や葬儀代…
そして、しばらく働けなかったことで残り少なくなっていた貯金は、あっという間に底をついた。
このままじゃ飢え死にだ!
 焦った私は、深夜の工場で働くことにした。
 占いの仕事は、やはり日中にしたいと思ったからだ。
 夜は工場、日中はなかなか来ることのない依頼を待つ…
そんな生活は暮らしていくにもギリギリで、三日前にはついにアパートも追い出され、今はネット難民となっている。
 給料日まではあと十日あるっていうのに、今、手元には二千円弱しかない。
 心細いなんてもんじゃない。
だんだん寒くなって来たっていうのに、こんな時期からホームレスはさすがに無理だ。
いや、暖かくても無理だけど。



そんな切羽詰まった時に出たカードが、よりにもよって『miracle』だなんて、笑っちゃう。
 私もそれなりに自分の占いは当たると信じてるけど、さすがに今回ははずしたな。
きっと、私の願望がカードに出てしまったんだ。



どうしよう…
今夜、ネットカフェに泊まったら、明日はもう泊まれないかもしれない。
 私にはお金を貸してくれるような友達もいないし、そもそも借りたって返す当てがない。
 万策尽きるとはまさに今の状況だ。
 私は暗い気持ちを抱え、ただ足の向くまま歩いていた。

 
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