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魔法のパイ屋さん
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(当たり前じゃ。
カパエルのパイに入れたのは虹色の幸せの種、おまえのパイに入れたのは焦げ茶色のおしおきの種なんじゃから…
おまえにはこの先、きっとこのパイ同様、苦い出来事が待ちうけることじゃろう…ひーーっひっひっ)
「婆さん、パイを食ったんだから、早くこの頭を取ってくれよ!」
ルディは、大きなかぼちゃ頭を指差しながら、魔女を見下ろした。
「あぁ、あぁ、わかっておる。
ほんにうるさい男じゃのう。
今、取ってやるからうるさく言うな!」
そう言うと、魔女の片手にどこから現れたのか、不意に短いロッドが握られた。
魔女は口の中でもごもごと何事かを唱えると、ロッドでかぼちゃ頭をコツンと叩く。
すると、一瞬でかぼちゃ頭は消え、ルディの素顔が飛び出した。
「やった!!取れた!」
ルディは久しぶりの自分の素顔を愛しげに両手でさする。
「ぷっ!」
魔女は、突然噴き出し甲高い声で笑い始めた。
「な、な、なんじゃ、その顔は…おまえさんみたいな貧相な顔は見たことがないぞ…
その顔じゃあ、かぼちゃの方がまだ良かったんじゃないのか?」
魔女は腹を抱えて、笑い転げる。
「……ちっ、感じ悪ぃな…
カパエル、行くぞ!!」
「あ……」
ルディは、カパエルの手を取り、魔女の小屋を後にした。
「おばあちゃん、さようなら~!
いろいろありがとう~!!」
カパエルは片腕をルディにひっぱられながら、もう片方の腕で魔女に手を振った。
「カ、カパエル、元気でな~!
また、いつでも遊びにおいで!」
魔女はまだおさまらない笑いの発作の中、カパエルに手を振った。
心の中でカパエルの幸せとルディの不幸を祈りながら……
カパエルのパイに入れたのは虹色の幸せの種、おまえのパイに入れたのは焦げ茶色のおしおきの種なんじゃから…
おまえにはこの先、きっとこのパイ同様、苦い出来事が待ちうけることじゃろう…ひーーっひっひっ)
「婆さん、パイを食ったんだから、早くこの頭を取ってくれよ!」
ルディは、大きなかぼちゃ頭を指差しながら、魔女を見下ろした。
「あぁ、あぁ、わかっておる。
ほんにうるさい男じゃのう。
今、取ってやるからうるさく言うな!」
そう言うと、魔女の片手にどこから現れたのか、不意に短いロッドが握られた。
魔女は口の中でもごもごと何事かを唱えると、ロッドでかぼちゃ頭をコツンと叩く。
すると、一瞬でかぼちゃ頭は消え、ルディの素顔が飛び出した。
「やった!!取れた!」
ルディは久しぶりの自分の素顔を愛しげに両手でさする。
「ぷっ!」
魔女は、突然噴き出し甲高い声で笑い始めた。
「な、な、なんじゃ、その顔は…おまえさんみたいな貧相な顔は見たことがないぞ…
その顔じゃあ、かぼちゃの方がまだ良かったんじゃないのか?」
魔女は腹を抱えて、笑い転げる。
「……ちっ、感じ悪ぃな…
カパエル、行くぞ!!」
「あ……」
ルディは、カパエルの手を取り、魔女の小屋を後にした。
「おばあちゃん、さようなら~!
いろいろありがとう~!!」
カパエルは片腕をルディにひっぱられながら、もう片方の腕で魔女に手を振った。
「カ、カパエル、元気でな~!
また、いつでも遊びにおいで!」
魔女はまだおさまらない笑いの発作の中、カパエルに手を振った。
心の中でカパエルの幸せとルディの不幸を祈りながら……
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