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side カンナ
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「カンナ、少し飲もうか…」
「はい。」
アルバートさんも、私のとよく似た感じの夜着を着て、長椅子で寛いでいた。
「ここへ……」
言われるままに、私はアルバートさんの隣に腰を降ろした。
アルバートさんはテーブルの上にあったワインっぽいお酒を、グラスに注いでくれた。
いつもならこういうことをしてくれる侍女さんたちがいないのが、ちょっと気になる。
「カンナ…ネイサンは、明日、モルドに戻るそうだ。」
「えっ!?何かあったのですか?」
「あぁ、そうらしい。
従兄弟のことは覚えているか?」
「いえ……」
ごめんね、嘘ばかり吐いて。
元々、私はネイサンさんの妹じゃないし、モルド人でもないんだ。
「なんでも、その従兄弟がネイサンを探しに来たらしい。
とても大切な用みたいだ。
君も気になるだろうが、連絡が来るまで待つしかないな。」
「そうなんですか…」
何なんだろう?
こんなに急にモルドに帰らなきゃならないなんて。
きっと、重要な用だよね。
気にはなりつつも、私達はしばらく他愛ない会話を交わし…
そして、少しお酒が回ってきた頃…
私たちは、ついに初めての夜を迎えた。
「はい。」
アルバートさんも、私のとよく似た感じの夜着を着て、長椅子で寛いでいた。
「ここへ……」
言われるままに、私はアルバートさんの隣に腰を降ろした。
アルバートさんはテーブルの上にあったワインっぽいお酒を、グラスに注いでくれた。
いつもならこういうことをしてくれる侍女さんたちがいないのが、ちょっと気になる。
「カンナ…ネイサンは、明日、モルドに戻るそうだ。」
「えっ!?何かあったのですか?」
「あぁ、そうらしい。
従兄弟のことは覚えているか?」
「いえ……」
ごめんね、嘘ばかり吐いて。
元々、私はネイサンさんの妹じゃないし、モルド人でもないんだ。
「なんでも、その従兄弟がネイサンを探しに来たらしい。
とても大切な用みたいだ。
君も気になるだろうが、連絡が来るまで待つしかないな。」
「そうなんですか…」
何なんだろう?
こんなに急にモルドに帰らなきゃならないなんて。
きっと、重要な用だよね。
気にはなりつつも、私達はしばらく他愛ない会話を交わし…
そして、少しお酒が回ってきた頃…
私たちは、ついに初めての夜を迎えた。
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