クローゼットに飛び込んだら、そこはイケメン天国（パラダイス）～これって、もしやシンデレラストーリー！？

side カンナ

４０

どうやら来た時とは、別ルートを通って帰るらしく、知らない町に着いた。



 「本当に体調は大丈夫なのか？」

 「はい、本当です。
 昨夜はご迷惑をおかけして、本当にすみませんでした。
しかも、僕…実は、全然、覚えてないんです。」

 「それは良かった。
 嫌なことや辛いことは、覚えてない方が良いからな。」

アルバートさんも忘れてくれたら良いんだけど…昨夜の私の醜態を。
でも、そんなに都合良くはいかないよね。



 ＊



 「わぁ…！すごい！」

 次の日は朝早くに宿を経った。
そして、街道をしばらく進んでそこから脇道に入って…
そしたら、森の中に、ものすごく綺麗な花が咲いていた。
 鮮やかな緑色の葉の中に、赤やオレンジ、ピンク、黄緑…同じ形だけど、色の違う花がいっぱい咲いていて…
まるで作り物かと思うような…ある意味、信じられないような美しさだった。



 「アルバートさん、何ですか？この花？」

 「ラドリアだ。」

 「ラドリア……？」

どこかで聞いたような…
あっ！そうだ、昨日、シュリさんがアルバートさんを誘ってたんだ。
 今頃は、ラドリアの花が盛りだって。



 「この花はとても不思議な花でな、一本の木から、このように何色もの花が咲く。
しかも、キリルでしか咲かないし、開花時期が決まっていない。
だから、この花を見たら幸せになれる…なんて、言い伝えられているんだ。」

 「へぇ……」

 確かに、この美しさは尋常じゃないよ。
こんなに綺麗な花だもの。
 伝説は本当かもって思えるよ。