275 / 351
side カンナ
24
しおりを挟む
*
「どうもありがとうございます。本当にありがとうございます。」
ついに頂上に着いた。
汗が噴き出て、なんだか足ががくがくしてる。
中は薄暗くて、隅っこに横になってる人がふたりいた。
おばあさんは、アルバートさんの足元に平伏して、涙を流しながらお礼を述べる。
「やめてください。さぁ、顔をあげて…」
アルバートさんはおばあさんに手を貸した。
「どちらのお方かわかりませんが、せめてお名前だけでも教えて下さい。」
「私は…アルバートと申します。」
「アルバート様……」
「そんなことより、早くハヴェル様にお祈りを…」
アルバートさんは、階段とは違う方におばあさんを連れて行った。
「あっ!」
そこにあったのは、見上げるような大きな石像。
とても優しい顔をした女神様の像だ。
そっか、ハヴェル様っていうのは女神様だったんだね。
「ハヴェル様……」
おばあさんは、女神像の前に座り込み、両手を組んで一心に祈りを捧げた。
アルバートさんはその後ろで、目を閉じ、同じように両手を組んでなにかを祈っていた。
私もアルバートさんの傍に立って、両手を組んだ。
『どうか……アルバートさんが幸せになれますように…!』
気が付いたら、私はそんなことを祈ってた。
だって…アルバートさんは、あんなに優しくて良い人なんだもん。
幸せになってほしいよ。
元の世界には自力で帰るから良いんだ。
だから、どうか…どうか、アルバートさんが幸せになれますように…
「どうもありがとうございます。本当にありがとうございます。」
ついに頂上に着いた。
汗が噴き出て、なんだか足ががくがくしてる。
中は薄暗くて、隅っこに横になってる人がふたりいた。
おばあさんは、アルバートさんの足元に平伏して、涙を流しながらお礼を述べる。
「やめてください。さぁ、顔をあげて…」
アルバートさんはおばあさんに手を貸した。
「どちらのお方かわかりませんが、せめてお名前だけでも教えて下さい。」
「私は…アルバートと申します。」
「アルバート様……」
「そんなことより、早くハヴェル様にお祈りを…」
アルバートさんは、階段とは違う方におばあさんを連れて行った。
「あっ!」
そこにあったのは、見上げるような大きな石像。
とても優しい顔をした女神様の像だ。
そっか、ハヴェル様っていうのは女神様だったんだね。
「ハヴェル様……」
おばあさんは、女神像の前に座り込み、両手を組んで一心に祈りを捧げた。
アルバートさんはその後ろで、目を閉じ、同じように両手を組んでなにかを祈っていた。
私もアルバートさんの傍に立って、両手を組んだ。
『どうか……アルバートさんが幸せになれますように…!』
気が付いたら、私はそんなことを祈ってた。
だって…アルバートさんは、あんなに優しくて良い人なんだもん。
幸せになってほしいよ。
元の世界には自力で帰るから良いんだ。
だから、どうか…どうか、アルバートさんが幸せになれますように…
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
少し先の未来が見える侯爵令嬢〜婚約破棄されたはずなのに、いつの間にか王太子様に溺愛されてしまいました。
ウマノホネ
恋愛
侯爵令嬢ユリア・ローレンツは、まさに婚約破棄されようとしていた。しかし、彼女はすでにわかっていた。自分がこれから婚約破棄を宣告されることを。
なぜなら、彼女は少し先の未来をみることができるから。
妹が仕掛けた冤罪により皆から嫌われ、婚約破棄されてしまったユリア。
しかし、全てを諦めて無気力になっていた彼女は、王国一の美青年レオンハルト王太子の命を助けることによって、運命が激変してしまう。
この話は、災難続きでちょっと人生を諦めていた彼女が、一つの出来事をきっかけで、クールだったはずの王太子にいつの間にか溺愛されてしまうというお話です。
*小説家になろう様からの転載です。
二度目の結婚は異世界で。~誰とも出会わずひっそり一人で生きたかったのに!!~
すずなり。
恋愛
夫から暴力を振るわれていた『小坂井 紗菜』は、ある日、夫の怒りを買って殺されてしまう。
そして目を開けた時、そこには知らない世界が広がっていて赤ちゃんの姿に・・・!
赤ちゃんの紗菜を拾ってくれた老婆に聞いたこの世界は『魔法』が存在する世界だった。
「お前の瞳は金色だろ?それはとても珍しいものなんだ。誰かに会うときはその色を変えるように。」
そう言われていたのに森でばったり人に出会ってしまってーーーー!?
「一生大事にする。だから俺と・・・・」
※お話は全て想像の世界です。現実世界と何の関係もございません。
※小説大賞に出すために書き始めた作品になります。貯文字は全くありませんので気長に更新を待っていただけたら幸いです。(完結までの道筋はできてるので完結はすると思います。)
※メンタルが薄氷の為、コメントを受け付けることができません。ご了承くださいませ。
ただただすずなり。の世界を楽しんでいただけたら幸いです。
【完結】恋の終焉~愛しさあまって憎さ1000倍~
つくも茄子
恋愛
五大侯爵家、ミネルヴァ・リゼ・ウォーカー侯爵令嬢は第二王子の婚約者候補。それと同時に、義兄とも婚約者候補の仲という複雑な環境に身を置いていた。
それも第二王子が恋に狂い「伯爵令嬢(恋人)を妻(正妃)に迎えたい」と言い出したせいで。
第二王子が恋を諦めるのが早いか。それとも臣籍降下するのが早いか。とにかく、選ばれた王子の婚約者候補の令嬢達にすれば迷惑極まりないものだった。
ミネルヴァは初恋の相手である義兄と結婚する事を夢見ていたというに、突然の王家からの横やりに怒り心頭。それでも臣下としてグッと堪えた。
そんな中での義兄の裏切り。
愛する女性がいる?
その相手と結婚したい?
何を仰っているのでしょうか?
混乱するミネルヴァを置き去りに義兄はどんどん話を続ける。
「お義兄様、あなたは婿入りのための養子縁組ですよ」と言いたいのをグッと堪えたミネルヴァであった。義兄を許す?許さない?答えは一つ。
今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。
梅雨の人
恋愛
幼き頃に婚約したエルザと王太子ルーカス。
将来を語り合い寄り添い続けた二人は、いつしか互いに気持ちを通わせあい、夫婦になれる日を心から楽しみにしていた。
すべてが順調に行き、二人の婚姻式があと少しという所で、突然現れた聖女とルーカスが急接近していく。
そしてついに聖女と一線を越えてしまったルーカスは責任をとる為、浮気相手の聖女を王太子妃として娶ることになってしまった。
一方エルザは婚約破棄が王に認められず、王太子妃の代わりに執務に公務をこなすために第二王太子妃にされてしまう。
エルザを妻として娶ることを心待ちにしていたルーカスだったが、王太子妃である聖女の束嫉妬が激しくエルザを蔑ろにしてしまう。
心無い周囲の声にただ一人耐え続けるエルザのもとに、側近として現れたダグラス。
ダグラスのおかげで次第に笑顔を取り戻すエルザと、二人を見て嫉妬にかられるルーカス。
そんなルーカスに対してエルザは言い放った。
不貞の末に妻二人も娶ったあなたに------今更嫉妬したなんて言われたくはありません。
【完結】婚約者を譲れと言うなら譲ります。私が欲しいのはアナタの婚約者なので。
海野凛久
恋愛
【書籍絶賛発売中】
クラリンス侯爵家の長女・マリーアンネは、幼いころから王太子の婚約者と定められ、育てられてきた。
しかしそんなある日、とあるパーティーで、妹から婚約者の地位を譲るように迫られる。
失意に打ちひしがれるかと思われたマリーアンネだったが――
これは、初恋を実らせようと奮闘する、とある令嬢の物語――。
※第14回恋愛小説大賞で特別賞頂きました!応援くださった皆様、ありがとうございました!
※主人公の名前を『マリ』から『マリーアンネ』へ変更しました。
あなたにはもう何も奪わせない
gacchi
恋愛
幼い時に誘拐されそうになった侯爵令嬢ジュリアは、知らない男の子に助けられた。
いつか会えたらお礼を言おうと思っていたが、学園に入る年になってもその男の子は見つからなかった。
もしかしたら伯爵令息ブリュノがそうかもしれないと思ったが、確認できないまま三学年になり仮婚約の儀式が始まる。
仮婚約の相手になったらブリュノに聞けるかもしれないと期待していたジュリアだが、その立場は伯爵令嬢のアマンダに奪われてしまう。
アマンダには初めて会った時から執着されていたが、まさか仮婚約まで奪われてしまうとは思わなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる