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side カンナ

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 「アルバートさん…本当に大丈夫ですか?
 眠くないですか?」

 「あぁ、平気だ。心配はいらない。」

 確かに、足取りはしっかりしてるけど…
なんだかとっても申し訳ない。
でも、何もしてあげられない。



 歩いてる間に、道はいつしか下向きになっていた。
つまり、山を越えたってことなのかな?
 今日は、足が痛くても休憩しようとは言わなかった。
いや、さすがに言えなかった。
 一睡もしてないアルバートさんが不満も言わず歩いてるんだから、言えるはずないよね。



 「あと少しで町に着く。
 今夜は、宿屋で眠れるから、心配しなくて良い。」

 「……はい。」

 心配というより、ほっとする。
 今夜は、アルバートさん、ゆっくりと眠れると良いな。



あたりが暗くなった頃、私達はようやく山の麓の小さな町に着いた。
 宿屋が一軒しかない本当に小さな町だ。



 「これはこれは、オルリアンのアルバート様ではありませんか!」

 宿屋に入ると、宿の主人が目を丸くしてそう言った。



 「お久しぶりです。デニスさん。」

 「一体、どうなすったんですか?」

 「骨休めと言いますか…久しぶりの旅行です。」

 「そうでしたか。それにしてもお久しぶりですね。
それで……こちらは?」

 主人は、私の方をちらりと見てそう言った。



 「懇意にしている友人です。
 祈りの塔へ連れていってやろうと思いまして…」

 「そうでしたか。
でも、うちにお立ち寄りいただいたということは、馬車ではなく山を越えていらしたんですか?」

 「ええ、そうです。」

 主人は呆れたような顔をして微笑んだ。

 
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