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side カンナ

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「い、いえ!違います!
それは、あくまでも芝居の中でのお話です。
クローゼットの裏は背板がなく、そこから私は裏に出て、舞台が異界に変わる手筈になっていたのです。」

 「よくわからない話だな。
 君のいた世界では、異界に行くことは日常的なことなのか?」

 「いえ、そうではありません。
 異界に行った者などひとりもいません。
それは、すべて想像の世界です。
 実際には出来ないことを芝居で作り出すことによって、観客はそれを楽しむのです。」

 「……なるほど。
それは確かに面白い試みかもしれないな。」

 「はい、ですが、芝居はあくまでも作り事のはずでした。
なのに、私は…クローゼットに飛び込んでから、本当の異界に来てしまったのです。
 打ち合わせでは、ただの白色灯のはずだったんですが、クローゼットの中は赤と青の光が輝いていました。
きっと、急に変更があったんだろうと思い、私はさほど気にせずにただ心のままに青い方の光に飛び込んだのです。
そしたら、さっきの場所にいて…私もなにがなんだか、わけがわからなくて…」

 私は、嘘偽りなく、真実を話した。
ここまで来たら、もうそうするしかないって思ったから。
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