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side カンナ
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「で、でも…どうにか、出来ないのですか?
たとえば…そうですね、どこかに閉じ込めるとか…」
「閉じ込める…か。
君ならどうだ?
殺されなければ、一生、どこかに閉じ込められてもなんともないのか?」
……確かにそうだ。
何十年も…それこそ、寿命が尽きるまでどこかにずっと閉じ込められてるなんて…
そんなのいやだ。
想像しただけでも気が狂いそう。
「確かに…それはいやです。」
「それに、エドワード王は、きっと諦めることはないだろう。
魔女たちを殺した時のように…」
「魔女…たちを?」
「……そうだ。」
アルバートさんは、深く頷いた。
「魔女の話は覚えているか?」
「兄さんに少し聞きました。」
「そうか…
かの昔……魔女狩りが行われ、多くの魔女が命を奪われたことは聞いたか?」
「はい。」
「命からがら、ファーリンドに逃げて来た魔女たちがいるのだ。
当時は、今のように大きく安全な船もなかった。
だから、粗末な小舟に乗って、その者たちは奇跡的にオルリアンに辿り着いたという。
当時のオルリアン王は、魔女たちを憐れに思い匿った。
生き残った魔女たちもようやく安堵し、オルリアンの城下町で平穏な生活を始めた。
ところが、そんな矢先…モルガーナの軍勢が現れ…
生き残りの魔女たちだけではなく、大半の民を…そして、城の者を殺したのだ。」
苦々しく語られたその内容に、私は胸が詰まった。
魔女がいたのは、何百年も昔のことだってネイサンさんに聞いたけど、アルバートさんにとってはご先祖様のことだから、より、深く心に刻まれているのだろう。
また、それに近いことが起きるとしたら…そりゃあ、見過ごすわけにはいかないよね。
辛い話だ。
私は、アルバートさんの心の闇を垣間見たような気がした。
たとえば…そうですね、どこかに閉じ込めるとか…」
「閉じ込める…か。
君ならどうだ?
殺されなければ、一生、どこかに閉じ込められてもなんともないのか?」
……確かにそうだ。
何十年も…それこそ、寿命が尽きるまでどこかにずっと閉じ込められてるなんて…
そんなのいやだ。
想像しただけでも気が狂いそう。
「確かに…それはいやです。」
「それに、エドワード王は、きっと諦めることはないだろう。
魔女たちを殺した時のように…」
「魔女…たちを?」
「……そうだ。」
アルバートさんは、深く頷いた。
「魔女の話は覚えているか?」
「兄さんに少し聞きました。」
「そうか…
かの昔……魔女狩りが行われ、多くの魔女が命を奪われたことは聞いたか?」
「はい。」
「命からがら、ファーリンドに逃げて来た魔女たちがいるのだ。
当時は、今のように大きく安全な船もなかった。
だから、粗末な小舟に乗って、その者たちは奇跡的にオルリアンに辿り着いたという。
当時のオルリアン王は、魔女たちを憐れに思い匿った。
生き残った魔女たちもようやく安堵し、オルリアンの城下町で平穏な生活を始めた。
ところが、そんな矢先…モルガーナの軍勢が現れ…
生き残りの魔女たちだけではなく、大半の民を…そして、城の者を殺したのだ。」
苦々しく語られたその内容に、私は胸が詰まった。
魔女がいたのは、何百年も昔のことだってネイサンさんに聞いたけど、アルバートさんにとってはご先祖様のことだから、より、深く心に刻まれているのだろう。
また、それに近いことが起きるとしたら…そりゃあ、見過ごすわけにはいかないよね。
辛い話だ。
私は、アルバートさんの心の闇を垣間見たような気がした。
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