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side カンナ
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「ご家族を残して、おひとりでこちらに来られたのですか?」
「家族はいない。
私は、ルーランの出身だ。」
「ルーラン…?」
「そうだ。一番最後まで、モルガーナに屈しなかった国だ。」
「屈しない…というのは?」
「あぁ……」
ネイサンさんは、小さく頷く。
「モルドには、元々、たくさんの国があった。
だが、モルガーナが攻め入り、その領土を少しずつ奪って行ったんだ。
今では、モルド全域が、モルガーナの国に統一されている。
ルーランが、モルガーナに屈したのは、私がまだ幼子の頃だった。
家族は、その時の戦乱で亡くなり、私は伯父に引き取られ、育てられたのだ。」
ネイサンさんの話は、嘘だとは思えなかった。
でも、私はそんな話は聞いたことがない。
ネイサンさんの話を聞く限りでは、おそらく『モルド』というのは大陸の名前だ。
その全域が、侵攻され、一つの国になったなんて話は聞いたことがない。
私は世界の情勢についてそれほど詳しいわけじゃないけれど、そんなことがあったら授業でも学びそうなのに。
「あの…ネイサンさん…モルドはどのあたりにあるんですか?」
「どのあたり…?ここよりずっと北方だ。」
「北ってことは…まさか、北極とか?」
「北極?…何のことだ。」
「え?あれっ?おかしいな。
あ、それじゃあ、ファーリンドはどのあたりですか?
たとえば、アメリカとか中国の傍だとか…」
「君は一体、何の話をしているんだ?
私には皆目わからない。」
「え?」
北極とかアメリカとか中国を知らない人なんている?
どうして?
どうして、ネイサンさんはそんなことを知らないの??
「家族はいない。
私は、ルーランの出身だ。」
「ルーラン…?」
「そうだ。一番最後まで、モルガーナに屈しなかった国だ。」
「屈しない…というのは?」
「あぁ……」
ネイサンさんは、小さく頷く。
「モルドには、元々、たくさんの国があった。
だが、モルガーナが攻め入り、その領土を少しずつ奪って行ったんだ。
今では、モルド全域が、モルガーナの国に統一されている。
ルーランが、モルガーナに屈したのは、私がまだ幼子の頃だった。
家族は、その時の戦乱で亡くなり、私は伯父に引き取られ、育てられたのだ。」
ネイサンさんの話は、嘘だとは思えなかった。
でも、私はそんな話は聞いたことがない。
ネイサンさんの話を聞く限りでは、おそらく『モルド』というのは大陸の名前だ。
その全域が、侵攻され、一つの国になったなんて話は聞いたことがない。
私は世界の情勢についてそれほど詳しいわけじゃないけれど、そんなことがあったら授業でも学びそうなのに。
「あの…ネイサンさん…モルドはどのあたりにあるんですか?」
「どのあたり…?ここよりずっと北方だ。」
「北ってことは…まさか、北極とか?」
「北極?…何のことだ。」
「え?あれっ?おかしいな。
あ、それじゃあ、ファーリンドはどのあたりですか?
たとえば、アメリカとか中国の傍だとか…」
「君は一体、何の話をしているんだ?
私には皆目わからない。」
「え?」
北極とかアメリカとか中国を知らない人なんている?
どうして?
どうして、ネイサンさんはそんなことを知らないの??
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