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真実
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「ハハハハハ!」
キーファの豪快な笑い声が、部屋の中に広がった。
他の者達は、なんとも言えない表情を浮かべながら、ただ黙り込んでいた。
「小箱の中身が空だったとはなぁ…」
キーファは、笑いすぎて流れた涙を拭いながら呟く。
「父さんは慌て者なところがあったから、入れ忘れたのかもしれないな。
一体、何を入れるつもりだったのか?」
「もう、その話はいいわ。」
「わざわざ、こんな遠くまでやって来たのに、とんだ無駄足だったな。」
「たまにはのんびりするのも良いじゃない。
遠くだけど、アレクさんやレイリーさんのお陰でずいぶん早く着いたし。」
「確かにそうだな。
転移出来なかったら、何日もかかってるだろうからな。」
キーファは、酒の入ったグラスを煽った。
「とりあえず、用事は済んだ。
明日、薬草を採ったら帰ろう。」
「俺は行かないからな。あんたらだけで行ってきな。」
「わかっとる。あんたは酒でも飲みながら待ってたら良い。」
ロダンの言葉に、キーファは薄ら笑いを浮かべた。
「確かにここは良いな。
働きたくなきゃ働かなくても、ここなら何とか生きていける。
リアナ…またここで暮らすか?」
「私は……」
「働きたいなら働いたって良い。
好きにして良いんだぜ。」
「……私はロダンさんの所に戻るわ。」
そう言って俯いたリアナを、キーファは疎ましげな瞳でみつめた。
「ハハハハハ!」
キーファの豪快な笑い声が、部屋の中に広がった。
他の者達は、なんとも言えない表情を浮かべながら、ただ黙り込んでいた。
「小箱の中身が空だったとはなぁ…」
キーファは、笑いすぎて流れた涙を拭いながら呟く。
「父さんは慌て者なところがあったから、入れ忘れたのかもしれないな。
一体、何を入れるつもりだったのか?」
「もう、その話はいいわ。」
「わざわざ、こんな遠くまでやって来たのに、とんだ無駄足だったな。」
「たまにはのんびりするのも良いじゃない。
遠くだけど、アレクさんやレイリーさんのお陰でずいぶん早く着いたし。」
「確かにそうだな。
転移出来なかったら、何日もかかってるだろうからな。」
キーファは、酒の入ったグラスを煽った。
「とりあえず、用事は済んだ。
明日、薬草を採ったら帰ろう。」
「俺は行かないからな。あんたらだけで行ってきな。」
「わかっとる。あんたは酒でも飲みながら待ってたら良い。」
ロダンの言葉に、キーファは薄ら笑いを浮かべた。
「確かにここは良いな。
働きたくなきゃ働かなくても、ここなら何とか生きていける。
リアナ…またここで暮らすか?」
「私は……」
「働きたいなら働いたって良い。
好きにして良いんだぜ。」
「……私はロダンさんの所に戻るわ。」
そう言って俯いたリアナを、キーファは疎ましげな瞳でみつめた。
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