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尻尾を振る犬

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「魔導士の力が一時的に失われる…
しかも、今では絶滅したような薬草や魔草が豊富に採れる場所があるなんて…それはえらくおかしな話ですね。」

「そうなんです。
さらに、ラーフィンは温暖な気候なんですが、そのあたり一帯はひんやりしてるんですよ。」

「なるほど。
そこは、魔道士によって作られた特別な場所なのでしょうね。
ですが、そこまでのものを作ろうと思ったら、かなりの魔力が必要です。
おそらく相当数の優秀な魔道士が関わったと思われます。
ただ、気になるのは、一体、誰がそんなことをしたか、です。
普通の者には、そんなことしたくても出来るはずがありません。」

リガスの言葉に、全員が頷く。



「たとえば、高名な魔道士でしょうか。」

「確かに、そういう案もあるかもしれませんね。
薬草や魔草を作っておけば、いざという時に役に立つ。
しかし、魔道の力が失われるのは何のためでしょう?
それに、今は昔程、護符も作られなくなりました。
つまり、魔草にもそこまでの必要性もありません。」

「それは、おそらくだいぶ昔に作られたものだからではないでしょうか?
当時はまだ魔草が必要だったのでは?」

「そうかもしれません。
それに、そういう場所は確かに作れないことはない。
ですが、ラーフィンでは一時的に魔道の力が失われるのですよね?
つまりは、ラーフィン自体が術をかけられた島だということになる。
そんな途方もないこと、一体、誰が…?」

その問いに答える者は、誰もいなかった。
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