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尻尾を振る犬

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「なるほど。そんなに大変なことがあったのですね。」

ある日、夜更けにディオニシスはスピロスを伴い、リガスを訪ねた。
そこで、ロージックにいた時のこと、そして、ロージックの情勢を詳しく話した。



「陛下にはどのように話しておけば良いでしょう?」

「そうですね。迂闊に話せばネストル様に伝わってしまうかもしれませんから、真実は話さない方が良いでしょう。」

「トレジャーハンターが、民家の前にディオニシス様を捨てて逃げ、その民家の者がディオニシス様の世話をした、ということにしておいてはいかがでしょう。
その家の者が、たまたま昔医者をしていた、とでも言って。」

スピロスが静かにそう話した。



「そうですね。良いかもしれませんね。」

「王家の腕輪は、トレジャーハンターが持ち去ったことにした方が良さそうですね。」

ウォルトが口を挟んだ。



「それが良いでしょう。」

「それで、私とマウリッツ様はどうしたことに?」

「そうですな。情報を聞きながらディオニシス様を探したけれど、なかなかみつからなかったことにしてはいかがでしょうか。
あまりにみつからないから、魔道士の力を借りた、ということに。」

「なるほど。自然な流れですね。では、そのように。」
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