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尻尾を振る犬
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「じゃあ、ディオ、元気でな!
何かあったら、またいつでも呼んでくれ。
ウォルト、ディオのことを頼んだぞ。」
「私の命に変えても、お護りします。」
数日後、マウリッツがラルフィンに旅立った。
今回は、魔道師に運んでもらうため、帰還にそれ程の時間はかからない。
なかなか自国に帰ろうとしないマウリッツを、半ば強制的に返したのは、ディオニシスの配慮からだった。
ディオニシスをロージックから連れ戻してくれた礼をベルッツに言うため、自分も一緒に行くと言ったセルギオス王だったが、ディオニシスのことでかなりの心労を抱え、体調が良くないことから、今回の旅は見送られた。
魔導師でも、一度の転移では飛べず、しかもラルフィンの気温は年中低い。
そんな所へ無理して旅をして、何かあったら取り返しがつかない。
そのため、オレスト医師がドクターストップをかけたのだ。
(僕のせいで、陛下達にはとても心配をかけてしまった。
本当に申し訳ないことだ。)
「ディオニシス…体調はどうだ?」
「はい、もう大丈夫です。」
「そうか、良かった。」
静かに微笑むセルギオス王の顔を見ながら、ディオニシスは、複雑な想いを感じていた。
ロージックでの出来事のほとんどを、ディオニシスは王に話していなかった。
それは、セルギオス王が、ネストルを信じているからだった。
王に話したことは、ネストルにも話されるかもしれない。
そうなると、状況は悪くなる。
セルギオス王に隠し事をすることは辛かったが、仕方の無いことだとディオニシスは自分に言い聞かせた。
「じゃあ、ディオ、元気でな!
何かあったら、またいつでも呼んでくれ。
ウォルト、ディオのことを頼んだぞ。」
「私の命に変えても、お護りします。」
数日後、マウリッツがラルフィンに旅立った。
今回は、魔道師に運んでもらうため、帰還にそれ程の時間はかからない。
なかなか自国に帰ろうとしないマウリッツを、半ば強制的に返したのは、ディオニシスの配慮からだった。
ディオニシスをロージックから連れ戻してくれた礼をベルッツに言うため、自分も一緒に行くと言ったセルギオス王だったが、ディオニシスのことでかなりの心労を抱え、体調が良くないことから、今回の旅は見送られた。
魔導師でも、一度の転移では飛べず、しかもラルフィンの気温は年中低い。
そんな所へ無理して旅をして、何かあったら取り返しがつかない。
そのため、オレスト医師がドクターストップをかけたのだ。
(僕のせいで、陛下達にはとても心配をかけてしまった。
本当に申し訳ないことだ。)
「ディオニシス…体調はどうだ?」
「はい、もう大丈夫です。」
「そうか、良かった。」
静かに微笑むセルギオス王の顔を見ながら、ディオニシスは、複雑な想いを感じていた。
ロージックでの出来事のほとんどを、ディオニシスは王に話していなかった。
それは、セルギオス王が、ネストルを信じているからだった。
王に話したことは、ネストルにも話されるかもしれない。
そうなると、状況は悪くなる。
セルギオス王に隠し事をすることは辛かったが、仕方の無いことだとディオニシスは自分に言い聞かせた。
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