７８～運命のカード

尻尾を振る犬

４

「そんなこと、気にしないで。
ゆっくり養生してね。
あ、スピロスさん。」

 「ダニエル…来てくれてたんですね。」

スピロスは、そう言って穏やかな笑みを浮かべた。



 「ミカエルの具合はどう？」

 「ええ、君が最初に受けたのに近い、酷いダメージを受けてますが、順調に回復してますよ。
ガネイ草もたくさん使わせていただいてますし。」

 「そうですか、良かった。
これからもミカエルのことをどうぞよろしくお願いします。」

 「はい、わかりました。」

ダニエルは、ラビスと共にミカエルの部屋を出た。



 「先程の方は、まだお若いですがお医者様なのですか？」

 「そ、そうなんだ。それもとても優秀な、ね。
 彼には僕もすごくお世話になったんだ。」

 「そうでしたか…」

ラビスは、ダニエルがロージックに行っていたことを知らない。
 何者かにかどわかされたことだけは知っていたが、それが何者によって、どこに連れて行かれていたのかは知らなかった。
だから、スピロスについても、ダニエルは詳しいことを話せなかった。