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希望

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「ニコラス様、しっかりなさいませ。
そんなことでは、任務は遂行されませぬぞ。」

リガスの言葉に、ニコラスは姿勢を正し、息を飲んだ。



 「リガス様のおっしゃる通りです。
わかりました。
どんなことがあろうとも、私は自分の任務に忠実でいます。」

リガスは、微笑み、ゆっくりと頷いた。



 「して、リガスよ。
なぜ、ロージックの者がディオニシスの似顔絵を送って来たと思う?」

 「私にもそれはわかりませぬが…
ただ…これはおそらく良い知らせなのではないかと思います。」

 「どういうことだ?」

 「先日…赤い雲が発動されました。
それは、マウリッツ様かウォルトが使ったものと考えるのが妥当です。
つまり…マウリッツ様が帰還されようとなさったということで、頂上に来られていたのだと思われます。
ですが、赤い雲のことは私に報告されず、クレタスも殺された…
その時、ロージックの者たちがもしかしたらその場に現れ、マウリッツ様達に遭遇されたのではないかと思うのです。
おそらく、その場にディオニシス様もいらっしゃった…
ネストル様は、そこにいた者のことをお訊ねになられ、それで、この似顔絵が送られて来たのではないでしょうか?」

 「では、ディオニシスはロージックの者たちに囚われていると!?」

 「それはわかりません。
ですが、うまく逃げられたにしろ、お捕まりになられたにしろ、それはディオニシス様がまだご存命であられる証なのではないかと…私はそう思うのです。」

セルギオス王は、複雑な表情を浮かべていたが、ゆっくりと頷いた。



 「そうだな…確かにおまえの言うことは辻褄が合っておる。
それに、今は、ディオニシスがどういう状況であれ、生きているかどうかということが一番重要だ。
この似顔絵は、ディオニシスが生きているという証なのかもしれぬな。」

セルギオス王は、また深く頷き、小さく微笑んだ。
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