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希望

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 「こ、これは…!」

セルギオス王は、紙を見つめたまま、動きを止めた。



 「はい、間違いなくそれはディオニシス様だと思います。」

 「どういうことだ!?
なぜ、ロージックの者がディオニシスの似顔絵を送って来るのだ!?」

 「これは、私の推論ですが…
ロージックの者は、ニコラス様達をネストル様と間違え、この手紙を送って来たのではないでしょうか!?」

 「な、なんですと!?」

ニコラスは、興奮した顔つきでリガスをみつめた。



 「ニコラス…正直に言おう。
ネストルは、ロージックの者と通じておる節がある…」

 「そ、そんな…
あの兄上が、まさかそんなこと…!」

セルギオスの言葉に、ニコラスは驚きを隠せなかった。



 「確かに、まだ確たる証拠があるわけではない。
だからこそ、おまえにネストルの行動を見張らせた。」

 「そ、そんな…兄上がロージックの者と通じているなんて…」

 「証拠はないが、そう考えると今までのことすべてにつじつまが合うのだ。」

 「兄上が……」

ニコラスの受けた衝撃は生半可なものではなかった。
 生まれた時からずっと信頼し、憧れていたネストルが、敵国と通じているかもしれないということが、ニコラスの心を砕いた。



 「ニコラス…もしも続けるのが無理だと思うのならばおまえの任務はすぐに解く。
だが、このことは絶対に他言してはならぬ。」

 「……陛下……私に最後までやらせて下さい。
 私は…この目で真実を見たいと思います。」

 「大丈夫なのか?おまえは今後も公平な目でネストルを見ることが出来るのか?」

 「はい、私は、絶対に私情を挟むことはございません。
 兄上だということを忘れ、正しい目で見ることをここに誓います!」

セルギオス王は深く頷いた。



 「よし、わかった。
ならば、今後も続けてネストルの監視を続けよ。」

 「陛下…その似顔絵なのですが、一体、どういう意味なのでしょうか?」

 「ニコラス…ディオニシスが行方不明だということは知っておろう?」

 「はい……ま、まさか、ディオニシス様がロージックに…!?
そ、そして、その件に兄上が加担していると…?」

ニコラスの声と体は、がたがたと震え始めた。
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