226 / 334
罠
2
しおりを挟む
*
「おはよう、ダニエル…いよいよですね。」
「お、おはようございます。」
次の日の早朝、アレクと共にスピロスが、キーファの家を訪れた。
「おいおい、こんな早くに経つのか?」
まぶたをこすりながら、まだ眠そうなキーファが部屋を出て来た。
「あぁ、馬車の都合があってな。」
「馬車って…転移するんじゃないのか?」
「俺は途中までだ。
ウォルト一人じゃ三人も運べないからな。」
「そうか…それじゃあ、気を付けてな。
またいつでも遊びに来てくれよ!」
「あぁ、ありがとう!あんたも元気でな!」
キーファに手を振ると、アレク達の姿はその場からかき消えた。
アレクはスピロスとマウリッツを、ウォルトはダニエルを伴って、トラニキアの頂上近くに転移した。
「ちょっと頂上を見て来る。」
アレクは、再び姿を消した。
「……大丈夫だ。
今、頂上には誰もいない。」
「よし、じゃあ、のろしを上げるぞ。」
ウォルトは準備していたのろしをあげた。
みるみるうちに、赤い雲が空に浮かび上がる。
かなりの強風にも、不思議とその雲は流れない。
「じゃあ、頂上でリガスさんが来るのを待とう。」
再び、アレクはスピロスとマウリッツを、そして、ウォルトはダニエルを連れ、頂上へ転移した。
「わ、すごい風だな!」
「あ、あの…マウリッツ…」
「なんだ?」
「えっと…その……」
ダニエルは、昨夜のカードのことが気にかかっていたが、まさかそのことを話すわけにはいかずに言葉を濁らせた。
「どうかしたのか?」
「うん…だから…今日は予定通りに進んでるんだよね?」
「あぁ、大丈夫だ。
じきに、リガスさんが飛んで来る。
そしたら、両側から結界を破って、向こうに行く。
それで終わりだ。
何も心配はいらないぞ。」
マウリッツは、ダニエルの肩に優しく手を置いた。
「そうだよね?もうここまで来たら、問題なんて起きないよね?」
「あぁ、大丈夫だ。」
マウリッツの明るい笑顔に、ダニエルはどこかほっとする想いを感じた。
「おはよう、ダニエル…いよいよですね。」
「お、おはようございます。」
次の日の早朝、アレクと共にスピロスが、キーファの家を訪れた。
「おいおい、こんな早くに経つのか?」
まぶたをこすりながら、まだ眠そうなキーファが部屋を出て来た。
「あぁ、馬車の都合があってな。」
「馬車って…転移するんじゃないのか?」
「俺は途中までだ。
ウォルト一人じゃ三人も運べないからな。」
「そうか…それじゃあ、気を付けてな。
またいつでも遊びに来てくれよ!」
「あぁ、ありがとう!あんたも元気でな!」
キーファに手を振ると、アレク達の姿はその場からかき消えた。
アレクはスピロスとマウリッツを、ウォルトはダニエルを伴って、トラニキアの頂上近くに転移した。
「ちょっと頂上を見て来る。」
アレクは、再び姿を消した。
「……大丈夫だ。
今、頂上には誰もいない。」
「よし、じゃあ、のろしを上げるぞ。」
ウォルトは準備していたのろしをあげた。
みるみるうちに、赤い雲が空に浮かび上がる。
かなりの強風にも、不思議とその雲は流れない。
「じゃあ、頂上でリガスさんが来るのを待とう。」
再び、アレクはスピロスとマウリッツを、そして、ウォルトはダニエルを連れ、頂上へ転移した。
「わ、すごい風だな!」
「あ、あの…マウリッツ…」
「なんだ?」
「えっと…その……」
ダニエルは、昨夜のカードのことが気にかかっていたが、まさかそのことを話すわけにはいかずに言葉を濁らせた。
「どうかしたのか?」
「うん…だから…今日は予定通りに進んでるんだよね?」
「あぁ、大丈夫だ。
じきに、リガスさんが飛んで来る。
そしたら、両側から結界を破って、向こうに行く。
それで終わりだ。
何も心配はいらないぞ。」
マウリッツは、ダニエルの肩に優しく手を置いた。
「そうだよね?もうここまで来たら、問題なんて起きないよね?」
「あぁ、大丈夫だ。」
マウリッツの明るい笑顔に、ダニエルはどこかほっとする想いを感じた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。
朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。
婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。
だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。
リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。
「なろう」「カクヨム」に投稿しています。
ファンタジック・アイロニー[6月5日更新再開!]
なぎコミュニティー
ファンタジー
――少年少女は神の悪戯で異世界に誘われた。これはとある兄妹が綴るストーリー。
ある日、神による悪戯により、兄妹は異世界に誘われる。基本世界「 ヒューマニー 」と童話や童謡の世界「 メルフェール 」で引き起こされる世界の混乱に兄妹はどのように挑むのか?! 神の思惑に挑む異世界幻想ストーリー。
※当作品はなぎコミュニティにて行われている「リレー小説」ですので、各話に応じて話がぶっ飛んでいたり、文体が異なっている場合があります。
※6月5日20時に更新再開しますが、執筆者多忙のため更新は隔週です! (5日の次の更新は19日となります)
※文章の量に応じて複数に話を区切らせていただいております。また、題名の末尾にあります括弧内の文字は、執筆担当者の名前です。もし担当者の文体が気に入りましたら、覚えておいていただけますと、メンバー総出で喜びます!
以上の事をご考慮の上、読了ください!
悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く
ひよこ1号
ファンタジー
過労で倒れて公爵令嬢に転生したものの…
乙女ゲーの悪役令嬢が活躍する原作小説に転生していた。
乙女ゲーの知識?小説の中にある位しか無い!
原作小説?1巻しか読んでない!
暮らしてみたら全然違うし、前世の知識はあてにならない。
だったら我が道を行くしかないじゃない?
両親と5人のイケメン兄達に溺愛される幼女のほのぼの~殺伐ストーリーです。
本人無自覚人誑しですが、至って平凡に真面目に生きていく…予定。
※アルファポリス様で書籍化進行中(第16回ファンタジー小説大賞で、癒し系ほっこり賞受賞しました)
※残虐シーンは控えめの描写です
※カクヨム、小説家になろうでも公開中です
転生先では幸せになります
RUU
ファンタジー
美園 穂希 28歳独身。トラックに轢かれた後、目が覚めると異世界で赤ん坊として出産されていた。
前世での苦い記憶も全て水に流して、今世では幸せになると誓って今日も生きていく。
異世界でアーシェンリファー・ウンディオーネとして生を受けた美園穂希はそんな異世界で強く生きる。
よくある系統の作品を書き出しました!
ヒロイン最強設定ですが、最初から最強チートではないです。
処女作です。文章能力も無く思うままに進めちゃってます。誤字脱字はご指導頂けるとありがたいです。
更新ペースも遅いです…。(ごめんなさい。)
幼女からスタートした侯爵令嬢は騎士団参謀に溺愛される~神獣は私を選んだようです~
桜もふ
恋愛
家族を事故で亡くしたルルナ・エメルロ侯爵令嬢は男爵家である叔父家族に引き取られたが、何をするにも平手打ちやムチ打ち、物を投げつけられる暴力・暴言の【虐待】だ。衣服も与えて貰えず、食事は食べ残しの少ないスープと一欠片のパンだけだった。私の味方はお兄様の従魔であった女神様の眷属の【マロン】だけだが、そのマロンは私の従魔に。
そして5歳になり、スキル鑑定でゴミ以下のスキルだと判断された私は王宮の広間で大勢の貴族連中に笑われ罵倒の嵐の中、男爵家の叔父夫婦に【侯爵家】を乗っ取られ私は、縁切りされ平民へと堕とされた。
頭空っぽアホ第2王子には婚約破棄された挙句に、国王に【無一文】で国外追放を命じられ、放り出された後、頭を打った衝撃で前世(地球)の記憶が蘇り【賢者】【草集め】【特殊想像生成】のスキルを使い国境を目指すが、ある日たどり着いた街で、優しい人達に出会い。ギルマスの養女になり、私が3人組に誘拐された時に神獣のスオウに再開することに! そして、今日も周りのみんなから溺愛されながら、日銭を稼ぐ為に頑張ります!
エメルロ一族には重大な秘密があり……。
そして、隣国の騎士団参謀(元ローバル国の第1王子)との甘々な恋愛は至福のひとときなのです。ギルマス(パパ)に邪魔されながら楽しい日々を過ごします。
七人の兄たちは末っ子妹を愛してやまない
猪本夜
ファンタジー
2024/2/29……3巻刊行記念 番外編SS更新しました
2023/4/26……2巻刊行記念 番外編SS更新しました
※1巻 & 2巻 & 3巻 販売中です!
殺されたら、前世の記憶を持ったまま末っ子公爵令嬢の赤ちゃんに異世界転生したミリディアナ(愛称ミリィ)は、兄たちの末っ子妹への溺愛が止まらず、すくすく成長していく。
前世で殺された悪夢を見ているうちに、現世でも命が狙われていることに気づいてしまう。
ミリィを狙う相手はどこにいるのか。現世では死を回避できるのか。
兄が増えたり、誘拐されたり、両親に愛されたり、恋愛したり、ストーカーしたり、学園に通ったり、求婚されたり、兄の恋愛に絡んだりしつつ、多種多様な兄たちに甘えながら大人になっていくお話。
幼少期から惚れっぽく恋愛に積極的で人とはズレた恋愛観を持つミリィに兄たちは動揺し、知らぬうちに恋心の相手を兄たちに潰されているのも気づかず今日もミリィはのほほんと兄に甘えるのだ。
今では当たり前のものがない時代、前世の知識を駆使し兄に頼んでいろんなものを開発中。
甘えたいブラコン妹と甘やかしたいシスコン兄たちの日常。
基本はミリィ(主人公)視点、主人公以外の視点は記載しております。
【完結:211話は本編の最終話、続編は9話が最終話、番外編は3話が最終話です。最後までお読みいただき、ありがとうございました!】
※書籍化に伴い、現在本編と続編は全て取り下げとなっておりますので、ご了承くださいませ。
【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
魔族の幼子ルンは、突然両親と引き離されてしまった。掴まった先で暴行され、殺されかけたところを救われる。圧倒的な強さを持つが、見た目の恐ろしい竜王は保護した子の両親を探す。その先にある不幸な現実を受け入れ、幼子は竜王の養子となった。が、子育て経験のない竜王は混乱しまくり。日常が騒動続きで、配下を含めて大騒ぎが始まる。幼子は魔族としか分からなかったが、実は将来の魔王で?!
異種族同士の親子が紡ぐ絆の物語――ハッピーエンド確定。
#日常系、ほのぼの、ハッピーエンド
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/08/13……完結
2024/07/02……エブリスタ、ファンタジー1位
2024/07/02……アルファポリス、女性向けHOT 63位
2024/07/01……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる