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折れた杖

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 「なるほど。お話はよくわかりました。
 残念ながら、僕にはそのリガスさんという方のかけたような術はかけられませんが、ロダンさんならもしかしたらかけられるかもしれません。」

 「そうなんですか!
そいつは助かった!」

 「ですが、どのくらいのシールドが張れるのかはわかりません。
あなた方は、その術をかけてもらっていても相当なダメージを受けたということですから、あなた方よりもずっと華奢なダニエルならかなりのダメージを受けることは間違いないでしょう。」

 「……やっぱりそうか……」

 「では、何か良い案はありませんか?
ダニエルのダメージを最小限に押さえられる方法は……」

スピロスは少し考え、そしてゆっくりと首を振った。



 「ダメージを受けずに結界をくぐるのはほぼ不可能なことです。
それも相当の……」

 「困ったな…じゃあ、結界以外の方法を考えるしかないのか……」

 「そうはいっても、それ以外っていったら船しかないが…船はなぁ……」

 部屋の中には気まずい沈黙が流れた。



 「……一つ、方法があるにはあります。」

スピロスの低い声に、三人は色めき立った。



 「どんなことですか!?」

 「ダメージはどうしようもありませんが…それを治せば良いわけです。」

 「そ、そりゃあ、そうだけど…」

 「……私が一緒に結界をくぐりましょう。
そして、ダニエルを治療します。」

 「えっ!そ、それはありがたいけど…問題はその帰りだ。
あんたが、帰った後、治療してくれる人はいるのか?
それに、ロージックに渡った後、すぐにダニエルの治療なんて出来るだろうか?」

スピロスはマウリッツに向かって穏やかな笑みを浮かべた。



 「マノスさん…僕は白き魔導師です。
 僕には治療する術しか使えませんが、元々、僕自身には強い治療の力が宿っているのです。
つまり、術に対する耐性のようなものが極めて高いのです。
ですから、結界をくぐる時にも皆さんのように大きなダメージは受けないのです。」

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