203 / 334
折れた杖
5
しおりを挟む
*
「それにしても、男ばっかりっていうのはむさ苦しいもんだなぁ…」
「今更、何を言ってんだよ。
今までだって、俺と二人で旅してただろ。
それに、あそこではキーファと三人で監獄に閉じ込められてた。」
「三人と五人じゃ、やっぱり違うな。
あ~あ、ここにキーファの妹でもいたら、まだ楽しいだろうに。」
「こらっ!リアナに手を出したら許さねぇぞ!」
「リアナも大変だな。
こんな兄貴がいたんじゃ……」
ウォルトの軽口に男達はどっと笑った。
今の状況を考えれば、そう笑えるものでもないのかもしれないが、ラーフィンの温暖な気候や風景が彼らの気持ちをほぐしたのか、皆、それほどの緊張感を感じてはいなかった。
「今日はどうする?」
「まずは、この部屋の片付けじゃないか?」
マウリッツの言葉にキーファは眉をひそめた。
「そんなことより、面白い所があるんだ。
そこに案内しよう。」
「観光か…それもいいな。」
「ただ、少々遠いけど、ま、魔導師様が二人いるから大丈夫だな。」
キーファは、ウォルトとアレクを交互に見て頷く。
「どういう所なんですか?」
「それは行ってからのお楽しみだ。
あんたら、皆、きっと驚くぜ!」
キーファはそう言って、なにやら含みのある笑みを浮かべた。
「驚くって…一体何があるんだよ?」
「だめだ、着くまでは内緒だ。」
「なんだよ。もったいぶらずに言えよ!」
キーファは、黙って首を振る。
「ちぇっ。着いてつまらない所だったら承知しないぞ!」
「大丈夫だ。絶対、びっくりするから…」
ゆっくりと朝食をすませた五人は、温かな日差しの下、キーファのとっておきの場所を目指して歩き始めた。
「それにしても、男ばっかりっていうのはむさ苦しいもんだなぁ…」
「今更、何を言ってんだよ。
今までだって、俺と二人で旅してただろ。
それに、あそこではキーファと三人で監獄に閉じ込められてた。」
「三人と五人じゃ、やっぱり違うな。
あ~あ、ここにキーファの妹でもいたら、まだ楽しいだろうに。」
「こらっ!リアナに手を出したら許さねぇぞ!」
「リアナも大変だな。
こんな兄貴がいたんじゃ……」
ウォルトの軽口に男達はどっと笑った。
今の状況を考えれば、そう笑えるものでもないのかもしれないが、ラーフィンの温暖な気候や風景が彼らの気持ちをほぐしたのか、皆、それほどの緊張感を感じてはいなかった。
「今日はどうする?」
「まずは、この部屋の片付けじゃないか?」
マウリッツの言葉にキーファは眉をひそめた。
「そんなことより、面白い所があるんだ。
そこに案内しよう。」
「観光か…それもいいな。」
「ただ、少々遠いけど、ま、魔導師様が二人いるから大丈夫だな。」
キーファは、ウォルトとアレクを交互に見て頷く。
「どういう所なんですか?」
「それは行ってからのお楽しみだ。
あんたら、皆、きっと驚くぜ!」
キーファはそう言って、なにやら含みのある笑みを浮かべた。
「驚くって…一体何があるんだよ?」
「だめだ、着くまでは内緒だ。」
「なんだよ。もったいぶらずに言えよ!」
キーファは、黙って首を振る。
「ちぇっ。着いてつまらない所だったら承知しないぞ!」
「大丈夫だ。絶対、びっくりするから…」
ゆっくりと朝食をすませた五人は、温かな日差しの下、キーファのとっておきの場所を目指して歩き始めた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
大好きなゲームがサービス終了するかと思えば異世界で召喚できるようになりました
雪丸
ファンタジー
一時ゲーム界に旋風を巻き起こしたゲーム『マジックタクティクス』
リリースから時がたつにつれてユーザー数が減っていきついにサービス終了する時が来てしまった。
サービス終了が告知される日、いつもと同じように最新情報を調べる男子高校生が一人。終了のお知らせを見て少し落ち込むが最後まで楽しもうと気持ちを切り替えマップ攻略に身を乗り出す。
攻略すると突然教室の床が光だし、気が付くとそこは異世界でした!?
異世界転移の特典でマジックタクティクスのカードが召喚できるようになり、お気に入りのカードたちと異世界を生き抜く。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
いずれ最強の錬金術師?
小狐丸
ファンタジー
テンプレのごとく勇者召喚に巻き込まれたアラフォーサラリーマン入間 巧。何の因果か、女神様に勇者とは別口で異世界へと送られる事になる。
女神様の過保護なサポートで若返り、外見も日本人とはかけ離れたイケメンとなって異世界へと降り立つ。
けれど男の希望は生産職を営みながらのスローライフ。それを許さない女神特性の身体と能力。
はたして巧は異世界で平穏な生活を送れるのか。
**************
本編終了しました。
只今、暇つぶしに蛇足をツラツラ書き殴っています。
お暇でしたらどうぞ。
書籍版一巻〜七巻発売中です。
コミック版一巻〜二巻発売中です。
よろしくお願いします。
**************
罠にはめられた公爵令嬢~今度は私が報復する番です
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
ファンタジー
【私と私の家族の命を奪ったのは一体誰?】
私には婚約中の王子がいた。
ある夜のこと、内密で王子から城に呼び出されると、彼は見知らぬ女性と共に私を待ち受けていた。
そして突然告げられた一方的な婚約破棄。しかし二人の婚約は政略的なものであり、とてもでは無いが受け入れられるものではなかった。そこで婚約破棄の件は持ち帰らせてもらうことにしたその帰り道。突然馬車が襲われ、逃げる途中で私は滝に落下してしまう。
次に目覚めた場所は粗末な小屋の中で、私を助けたという青年が側にいた。そして彼の話で私は驚愕の事実を知ることになる。
目覚めた世界は10年後であり、家族は反逆罪で全員処刑されていた。更に驚くべきことに蘇った身体は全く別人の女性であった。
名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
※他サイトでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる