178 / 334
再会
3
しおりを挟む
*
「に、兄さん!」
「リアナ!!」
ロダンの家の前で掃除をしていたリアナは、箒を投げ出し、キーファの胸に飛び込んだ。
「……良かった……
助かったのね……アレクさん、本当にどうもありがとうございました。」
ぽろぽろと大粒の涙を流しながら、リアナはアレクに礼を述べた。
「おぉ、誰かと思うたらおまえさんか…
どうやら仕事はうまくいったようじゃな…ん?」
家の中から顔をのぞかせたロダンが、ゆっくりとウォルトの傍に近付いた。
「見慣れん顔じゃな。」
「あぁ…初めまして。
私は、アレクに助けてもらった、ダニエルの知り合いです。」
ウォルトはそう言って、ロダンの細い片手を握りしめた。
「……質が違うな。」
「え?今、なんと?」
「リアナ…皆さんにお茶を……」
「は、はいっ!」
リアナは涙を拭い、皆を家の中に招き入れた。
*
「そうか…あの護符が役に立ったんじゃな。」
「あぁ、今回は飛んだ先が真っ暗な山の中で、あたりには松明の明かりしかなかったから、すぐにわかったんだ。」
「奴らのアジトは山の中なのか?」
「セモリュナから東に行った山の中だった。
だが、思ったよりも小さな施設だったし、あそこは本拠地ではないと思う。」
アレクの言葉に、男達は頷いた。
「そうだな。本来連れて行かれる場所はあそこじゃないって話を聞いた。
ちょうど魔女が体調を崩していて、魔導士を見分けることが出来ないみたいなことを言ってたな。」
「おそらく、あそこはハンターがかどわかして来た者達を一時的に置いておく施設じゃないかと思う。
あそこで、魔導士を選別し、然るべき所へ連れて行かれるんだろうな。」
「それではおまえさんは、魔女が体調を崩したおかげで助かったってわけじゃな。」
「そういうことですね。」
ウォルトは、そう言って複雑な笑みを浮かべた。
「に、兄さん!」
「リアナ!!」
ロダンの家の前で掃除をしていたリアナは、箒を投げ出し、キーファの胸に飛び込んだ。
「……良かった……
助かったのね……アレクさん、本当にどうもありがとうございました。」
ぽろぽろと大粒の涙を流しながら、リアナはアレクに礼を述べた。
「おぉ、誰かと思うたらおまえさんか…
どうやら仕事はうまくいったようじゃな…ん?」
家の中から顔をのぞかせたロダンが、ゆっくりとウォルトの傍に近付いた。
「見慣れん顔じゃな。」
「あぁ…初めまして。
私は、アレクに助けてもらった、ダニエルの知り合いです。」
ウォルトはそう言って、ロダンの細い片手を握りしめた。
「……質が違うな。」
「え?今、なんと?」
「リアナ…皆さんにお茶を……」
「は、はいっ!」
リアナは涙を拭い、皆を家の中に招き入れた。
*
「そうか…あの護符が役に立ったんじゃな。」
「あぁ、今回は飛んだ先が真っ暗な山の中で、あたりには松明の明かりしかなかったから、すぐにわかったんだ。」
「奴らのアジトは山の中なのか?」
「セモリュナから東に行った山の中だった。
だが、思ったよりも小さな施設だったし、あそこは本拠地ではないと思う。」
アレクの言葉に、男達は頷いた。
「そうだな。本来連れて行かれる場所はあそこじゃないって話を聞いた。
ちょうど魔女が体調を崩していて、魔導士を見分けることが出来ないみたいなことを言ってたな。」
「おそらく、あそこはハンターがかどわかして来た者達を一時的に置いておく施設じゃないかと思う。
あそこで、魔導士を選別し、然るべき所へ連れて行かれるんだろうな。」
「それではおまえさんは、魔女が体調を崩したおかげで助かったってわけじゃな。」
「そういうことですね。」
ウォルトは、そう言って複雑な笑みを浮かべた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~
一色孝太郎
ファンタジー
【小説家になろう日間1位!】
悪役令嬢オリヴィア。それはスマホ向け乙女ゲーム「魔法学園のイケメン王子様」のラスボスにして冥界の神をその身に降臨させ、アンデッドを操って世界を滅ぼそうとした屍(かばね)の女王。そんなオリヴィアに転生したのは生まれついての重い病気でずっと入院生活を送り、必死に生きたものの天国へと旅立った高校生の少女だった。念願の「健康で丈夫な体」に生まれ変わった彼女だったが、黒目黒髪という自分自身ではどうしようもないことで父親に疎まれ、八歳のときに魔の森の中にある見放された開拓村へと追放されてしまう。だが彼女はへこたれず、領民たちのために闇の神聖魔法を駆使してスケルトンを作り、領地を発展させていく。そんな彼女のスケルトンは産業革命とも称されるようになり、その評判は内外に轟いていく。だが、一方で彼女を追放した実家は徐々にその評判を落とし……?
小説家になろう様にて日間ハイファンタジーランキング1位!
※本作品は他サイトでも連載中です。
全能で楽しく公爵家!!
山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。
未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう!
転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。
スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。
※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。
※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。
異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く
りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる