上 下
164 / 334
予期せぬ出来事

12

しおりを挟む




 「よう、兄ちゃん達、良かったら一緒に飲まないか?」

 他愛ない話をしながら、酒を飲んでいた二人の元に、体格の良い二人の男が現れた。
アレクは、マックスに向かって小さな目配せを送った。



 「席なら、あっちにも空いた所があるぜ。」

 「つれないことを言うなよ。
 酒は大勢で飲む方がうまいじゃないか。
 今日は、カードでちょっと儲けたから、俺がおごるぜ。」

 「そうか、それなら良いぜ。」

 男達は、愛想の良い笑みを浮かべ、二人の席に合流した。



 「あんたら、この町の者なのか?」

 「いや、旅の者だ。
 俺達は、お互い、家族もいないし、一所にいるのが苦手な風来坊だ。
この先の町で知り合って、ここまで一緒に来たんだ。」

 「家族がいない…?
そりゃあ、身軽で良いな。
ところで、この先に綺麗な姉ちゃん達のいる店があるんだが、そっちで飲みなおさないか?」

 「そういう店は高いんじゃないのか?」

 「だから、飲み代は俺がもつって言ってるだろ?」

 「それなら、マックス…連れて行ってもらったらどうだ?
 綺麗なお姉ちゃんには会ってみたいが、さっきからどうにも眠くてな…」

 「あんたは酒には本当に弱いからな。
じゃあ、俺…ちょっと行って来るよ。」

マックスと男達は、一緒に店を出て行った。
アレクも店を出て、三人の後をこっそりとつけていく。



 「アレク…!」

アレクは路地から現れたレイリーに頷いてみせた。



 「意外と早かったな。
あいつらに間違いないのか?」

 「あぁ、おそらく、な…」

マックスを連れた二人の男は、繁華街を抜け、どんどん人通りの少ない方へ歩いて行った。



 「確かに…
こんな所に飲み屋があるとは思えないもんな。」

 物陰に身を潜めながら、二人は、マックス達の姿を見守った。



 「あ!」

 唐突に、二人の視界から男達の姿が消え去った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

異世界屋台経営-料理一本で異世界へ

芽狐@書籍発売中
ファンタジー
松原 真人(35歳)は、ある夜に自分の料理屋で亡くなってしまう。 そして、次に目覚めた場所は、見たことない木で出来た一軒家のような場所であった。そこで、出会ったトンボという男と異世界を津々浦々屋台を引きながら回り、色んな異世界人に料理を提供していくお話です。 更新日時:不定期更新18時投稿 よかったらお気に入り登録・感想などよろしくお願いします。

追放された最強令嬢は、新たな人生を自由に生きる

灯乃
ファンタジー
旧題:魔眼の守護者 ~用なし令嬢は踊らない~ 幼い頃から、スウィングラー辺境伯家の後継者として厳しい教育を受けてきたアレクシア。だがある日、両親の離縁と再婚により、後継者の地位を腹違いの兄に奪われる。彼女は、たったひとりの従者とともに、追い出されるように家を出た。 「……っ、自由だーーーーーーっっ!!」 「そうですね、アレクシアさま。とりあえずあなたは、世間の一般常識を身につけるところからはじめましょうか」 最高の淑女教育と最強の兵士教育を施されたアレクシアと、そんな彼女の従者兼護衛として育てられたウィルフレッド。ふたりにとって、『学校』というのは思いもよらない刺激に満ちた場所のようで……?

あらゆる属性の精霊と契約できない無能だからと追放された精霊術師、実は最高の無の精霊と契約できたので無双します

名無し
ファンタジー
 レオンは自分が精霊術師であるにもかかわらず、どんな精霊とも仮契約すらできないことに負い目を感じていた。その代わりとして、所属しているS級パーティーに対して奴隷のように尽くしてきたが、ある日リーダーから無能は雑用係でも必要ないと追放を言い渡されてしまう。  彼は仕事を探すべく訪れたギルドで、冒険者同士の喧嘩を仲裁しようとして暴行されるも、全然痛みがなかったことに違和感を覚える。

光のもとで2

葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、 新たな気持ちで新学期を迎える。 好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。 少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。 それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。 この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。 何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい―― (10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)

運命の出会いを経験してみた。

みららぐ
恋愛
付き合っていた彼氏に大金を奪われ浮気され散々な恋愛をしていた主人公。 そんな主人公、五十嵐鏡子(いがらしきょうこ)の目の前に、ある日超ハイスペックなイケメン、柳瀬修史(やなせしゅうじ)が現れた。 「どうせあたしとは釣り合わないから」 しかし鏡子はそう思って、修史との恋愛の展開は期待していなかったが… 「あなたには俺がいるから」 「…帰したく、ない」 「もうここまで来たんだから逃さないよ、俺」 何故かあの手この手で迫ってくる彼に、もう好きにならずにはいられない!? ちょっと危険で大人な恋愛をご覧あれ!

死亡エンドしかない悪役令息に転生してしまったみたいだが、全力で死亡フラグを回避する!

柚希乃愁
ファンタジー
『Blessing Blossom』という大人向けの恋愛シミュレーションRPGゲームがあった。 いわゆるエロゲ―だ。 その中に登場する公爵家長男レオナルド=クルームハイト。 あるときゲーム内のキャラクターであるはずの彼は、今の自分ではないもう一つの記憶を思い出す。 それはこの世界とは別の世界のもの。 その記憶の中で、彼は今自分がいるのがゲームの世界だということを知る。 しかもレオナルドは、ヒロインのどのルートに進んでも最後は死亡してしまう悪役令息で……。 ゲーム本編開始までにはまだ時間がある。 レオナルドは記憶を頼りに死亡回避のために動き出す。 自分にできることをしよう、と。 そんなレオナルドの行動は少なからず周囲に影響を与えていく。 自身の死亡回避、そして悠々自適なスローライフという目標に向かって順調に進んでいるかに見えたレオナルドだが、ある事件が起きる。 それはゲームにはなかったもので……。 ゲームと今レオナルドが生きている現実で展開が違っているのだ。 この事件をきっかけにレオナルドの考え方は変わっていくこととなる。 果たしてレオナルドは死亡エンドを回避できるのか―――。 *念のためのセルフレイティングです。 10/10 男性向けHOTランキング3位! 10/11 男性向けHOTランキング2位! 10/13 男性向けHOTランキング1位! 皆様お読みくださりありがとうございますm(__)m 11/4 第一章完結 11/7 第二章開始

【祝・追放100回記念】自分を追放した奴らのスキルを全部使えるようになりました! ~いざなわれし魔の手~

高見南純平
ファンタジー
最弱ヒーラーの主人公は、ついに冒険者パーティーを100回も追放されてしまう。しかし、そこで条件を満たしたことによって新スキルが覚醒!そのスキル内容は【今まで追放してきた冒険者のスキルを使えるようになる】というとんでもスキルだった! 主人公は、他人のスキルを組み合わせて超万能最強冒険者へと成り上がっていく! ~いざなわれし魔の手~ かつての仲間を探しに旅をしているララク。そこで天使の村を訪れたのだが、そこには村の面影はなくさら地があるだけだった。消滅したあるはずの村。その謎を追っていくララクの前に、恐るべき魔の手が迫るのだった。

処理中です...