162 / 334
予期せぬ出来事
10
しおりを挟む
*
「本当に本当なんだろうね!」
「アドニア…僕の言うことがそんなに信用出来ないのですか?」
「そ、そういうわけじゃないけどさ…
本当に、リアナはなんともなさそうだったんだね?
無理してる様子はなかったんだね?」
執拗に念を押すアドニアに、スピロスは苦笑しながら頷いた。
「ええ…そんな素振りは少しも…
ロダンさんはアレクの言う通りかなりのご高齢でしたし、お話させていただいた時の印象もどこもおかしな感じは受けませんでしたよ。
ただ……」
「ただ、何なんだい?」
「……気にはなっているんです。
なぜ、ロダンさんがリアナに興味を持ったかということが…
もちろん、色恋の問題ではないと思うのですが、ロダンさんが理由もなくリアナを傍に置きたがったとは思えないのです。
何か理由があるのではないかと思うのですが…」
スピロスはまるで自分に問い掛けるようにそう言いながら、ゆっくりと首を捻った。
「じゃあ、どんな理由があるっていうのさ?
リアナのことを孫みたいな気持ちでみてるっていうことかい?
ああいう可愛い子が傍にいると癒されるとか、毎日が楽しいとか…?」
「いえ、そんなことではないと思うのですが…
でも、そうかといって具体的な理由が思いつくわけでもないのです。
とにかく、リアナのことは心配ありませんから、もう少し様子をみてみましょう。
そのうちにきっとなにかがわかってくると思います。」
スピロスの言葉に、アドニアは渋々ながらも納得した。
アドニアがようやく落ち着いた所で、スピロスはロダンの家でのことを何かと話して聞かせた。
仕事部屋の様子や、ロダンと話した時の印象…そして、絆の護符のこと…
ダニエルもスピロスの話に黙って耳を傾けた。
「そうかい、それでアレクはあんなに慌てて出て行ったんだね?」
「そうなんですよ。
護符の力を過信しすぎるのも良くありませんし、実際に試してみるのが一番ですからね。
まぁ、ロダンさんの護符ですから、いくら古いものだとはいえ効果はそう薄れてはいないと思うのですが、問題はアレクとマックスの親交の深さですよね。」
「……うまくいくと良いけどねぇ…」
アドニアはいつになく弱気な声で呟いた。
「本当に本当なんだろうね!」
「アドニア…僕の言うことがそんなに信用出来ないのですか?」
「そ、そういうわけじゃないけどさ…
本当に、リアナはなんともなさそうだったんだね?
無理してる様子はなかったんだね?」
執拗に念を押すアドニアに、スピロスは苦笑しながら頷いた。
「ええ…そんな素振りは少しも…
ロダンさんはアレクの言う通りかなりのご高齢でしたし、お話させていただいた時の印象もどこもおかしな感じは受けませんでしたよ。
ただ……」
「ただ、何なんだい?」
「……気にはなっているんです。
なぜ、ロダンさんがリアナに興味を持ったかということが…
もちろん、色恋の問題ではないと思うのですが、ロダンさんが理由もなくリアナを傍に置きたがったとは思えないのです。
何か理由があるのではないかと思うのですが…」
スピロスはまるで自分に問い掛けるようにそう言いながら、ゆっくりと首を捻った。
「じゃあ、どんな理由があるっていうのさ?
リアナのことを孫みたいな気持ちでみてるっていうことかい?
ああいう可愛い子が傍にいると癒されるとか、毎日が楽しいとか…?」
「いえ、そんなことではないと思うのですが…
でも、そうかといって具体的な理由が思いつくわけでもないのです。
とにかく、リアナのことは心配ありませんから、もう少し様子をみてみましょう。
そのうちにきっとなにかがわかってくると思います。」
スピロスの言葉に、アドニアは渋々ながらも納得した。
アドニアがようやく落ち着いた所で、スピロスはロダンの家でのことを何かと話して聞かせた。
仕事部屋の様子や、ロダンと話した時の印象…そして、絆の護符のこと…
ダニエルもスピロスの話に黙って耳を傾けた。
「そうかい、それでアレクはあんなに慌てて出て行ったんだね?」
「そうなんですよ。
護符の力を過信しすぎるのも良くありませんし、実際に試してみるのが一番ですからね。
まぁ、ロダンさんの護符ですから、いくら古いものだとはいえ効果はそう薄れてはいないと思うのですが、問題はアレクとマックスの親交の深さですよね。」
「……うまくいくと良いけどねぇ…」
アドニアはいつになく弱気な声で呟いた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します
名無し
ファンタジー
毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。
運命の出会いを経験してみた。
みららぐ
恋愛
付き合っていた彼氏に大金を奪われ浮気され散々な恋愛をしていた主人公。
そんな主人公、五十嵐鏡子(いがらしきょうこ)の目の前に、ある日超ハイスペックなイケメン、柳瀬修史(やなせしゅうじ)が現れた。
「どうせあたしとは釣り合わないから」
しかし鏡子はそう思って、修史との恋愛の展開は期待していなかったが…
「あなたには俺がいるから」
「…帰したく、ない」
「もうここまで来たんだから逃さないよ、俺」
何故かあの手この手で迫ってくる彼に、もう好きにならずにはいられない!?
ちょっと危険で大人な恋愛をご覧あれ!
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
【書籍化進行中】魔法のトランクと異世界暮らし
猫野美羽
ファンタジー
※書籍化進行中です。
曾祖母の遺産を相続した海堂凛々(かいどうりり)は原因不明の虚弱体質に苦しめられていることもあり、しばらくは遺産として譲り受けた別荘で療養することに。
おとぎ話に出てくる魔女の家のような可愛らしい洋館で、凛々は曾祖母からの秘密の遺産を受け取った。
それは異世界への扉の鍵と魔法のトランク。
異世界の住人だった曾祖母の血を濃く引いた彼女だけが、魔法の道具の相続人だった。
異世界、たまに日本暮らしの楽しい二拠点生活が始まる──
◆◆◆
ほのぼのスローライフなお話です。
のんびりと生活拠点を整えたり、美味しいご飯を食べたり、お金を稼いでみたり、異世界旅を楽しむ物語。
※カクヨムでも掲載予定です。
光のもとで2
葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、
新たな気持ちで新学期を迎える。
好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。
少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。
それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。
この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。
何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい――
(10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
偽りステータス冒険者は神秘級ステータス
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
カード師のフェアルと鑑定師のりーの二人は、何故か命を狙われる。賊に襲われたり、女装した冒険者に襲われたり……。
その事件の背後に不思議な女性の影が浮かび上がる。
異世界に転生したけどトラブル体質なので心配です
小鳥遊 ソラ(著者名:小鳥遊渉)
ファンタジー
元々、トラブルに遭いやすい体質だった男の異世界転生記。
トラブルに巻き込まれたり、自分から飛び込んだり、たまに自分で作ったり、魔物と魔法や剣のある異世界での転生物語。余り期待せずに読んで頂ければありがたいです。
戦闘は少な目です。アルフレッドが強すぎて一方的な戦いが多くなっています。
身内には優しく頼れる存在ですが、家族の幸せの為なら、魔物と悪人限定で無慈悲で引くくらい冷酷になれます。
転生した村は辺境過ぎて、お店もありません。(隣町にはあります)魔法の練習をしたり、魔狼に襲われ討伐したり、日照り解消のために用水路を整備したり、井戸の改良をしたり、猪被害から村に柵を作ったり、盗賊・熊・ゴブリンに襲われたり、水車に風車に手押しポンプ、色々と前世の記憶で作ったりして、段々と発展させて行きます。一部の人達からは神の使いと思われ始めています。………etc そんな日々、アルフレッドの忙しい日常をお楽しみいただければ!
知識チート、魔法チート、剣術チート、アルは無自覚ですが、強制的に出世?させられ、婚約申込者も増えていきます。6歳である事や身分の違いなどもある為、なかなか正式に婚約者が決まりません。女難あり。(メダリオン王国は一夫一妻制)
戦闘は短めを心掛けていますが、時にシリアスパートがあります。ご都合主義です。
基本は、登場人物達のズレた思考により、このお話は成り立っております。コメディーの域にはまったく届いていませんが、偶に、クスッと笑ってもらえる作品になればと考えております。コメディー要素多めを目指しております。女神と神獣も出てきます。
※舞台のイメージは中世ヨーロッパを少し過去に遡った感じにしています。魔法がある為に、産業、医療などは発展が遅れている感じだと思っていただければ。
中世ヨーロッパの史実に出来るだけ近い状態にしたいと考えていますが、婚姻、出産、平均寿命などは現代と余りにも違い過ぎて適用は困難と判断しました。ご理解くださいますようお願いします。
俺はアラサーのシステムエンジニアだったはずだが、取引先のシステムがウイルスに感染、復旧作業した後に睡魔に襲われ、自前のシュラフで仮眠したところまで覚えているが、どうも過労死して、辺境騎士の3男のアルフレッド6歳児に転生? 前世では早くに両親を亡くし、最愛の妹を残して過労死した社畜ブラックどっぷりの幸薄な人生だった男が、今度こそ家族と幸せに暮らしたいと願い、日々、努力する日常。
※最後になりますが、作者のスキル不足により、不快な思いをなされる方がおられましたら、申し訳なく思っております。何卒、お許しくださいますようお願い申し上げます。
この作品は、空想の産物であり、現実世界とは一切無関係です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる