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予期せぬ出来事

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 「まぁ、スピロスさん!
こんな朝早くから、一体、どうなすったんですか?」

 扉を開き、目を丸くして驚いた表情を浮かべるリアナを見て、スピロスは何の心配もないことを瞬時に悟り安堵した。



 「やぁ、リアナ。」

 「アレクさん…
まさか、あの護符に何か問題でもあったんですか?」

 扉の陰から顔をのぞかせたアレクを見て、リアナは顔を強張らせる。



 「リアナ、心配はいりませんよ。
 僕はただロダンさんに今回のお礼を言いたくて…いえ、伝説の魔導師に一目お会いしたくて、それでアレクに頼んで連れて来てもらっただけなんです。」

スピロスは、心配事などおくびにも出さず、淀みない口調でそう答えた。



 「そうだったんですか…」

リアナはスピロスの話を聞いて安心したような声を出し、頬を緩ませた。



 *



 礼儀正しいスピロスが敬意を表したことで、不意の訪問にもロダンの機嫌はすこぶる良かった。



 「そうか…ついに決行ということなんじゃな。」

ロダンは、何かを考えるように目を閉じ頬杖を着いて頷いた。



 「あぁ、一緒に連れて行く魔導師もみつかったし、今夜には出発しようと思ってる。」

 「紫魔色草さえあれば、もっとちゃんとしたものを作れるのだがな…
全く効果がないということはないが、どの程度、効果が薄れているものか…
 ……それで、実験はやってみたのか?」

 「実験……?」

 「なんじゃ、やっとらんのか!?」

 呆れ顔でみつめるロダンに、アレクは困惑した様子で首をひねる。



 「あの時に言うたじゃろう。
 相手の事を出来るだけ鮮明に心に思い描くことで、その近くに飛ぶことが出来ると。
 本来は親子に使う物じゃから、わざわざそんなことをしなくても転移は簡単に出来たのじゃが、おまえさんとあの男はただの知り合いだということじゃったな。
 親子よりはずっと心の繋がりが希薄なのじゃから、出来るだけ鮮明にあの男のことを思い浮かべるんじゃ。
あの男の顔、髪の色、声、仕草…なんでもじゃ。
しかし、それでどの程度近くに飛べるかは確かめておいた方が良いのではないか?
そうでなければ、あたりを探すのにずいぶんと時間を取られてしまうぞ。」

 「なるほど…
そういうことがあったのか…
じゃあ、一度確かめてみる必要があるな。」

 「おまえさん達がやろうとしていることは、とても難しいことじゃ。
 小さなミスが大きなミスに繋がりかねん。
 念には念を入れ、予想外のことが起きた時にも、対処する方法を考えておくべきじゃな。
……そうじゃ…確か、魔力強化の護符があったはずじゃ…」

ロダンが席を立ったのを見届けると、スピロスはリアナに声をかけた。
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