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予期せぬ出来事

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「おい、出ろ!
 仕事だ!
 少しでもおかしな真似をしたら、すぐに殺すからな!」



 異常なまでに威圧的なその声に、マウリッツとウォルトは顔を見合せて苦笑した。
 言われるがままに外に出ると、そこには鋭い剣を持った二人の男が立ち尽し、さらにもう一人の男が三人に手錠をかけた。



 「この三日間、俺達はめしも食わせてもらってないんだ。
 力なんて出ないぞ。」

 「黙って歩け!
 働いたら今夜から食事は支給する。」

 三人は男に小突かれながら、薄暗い廊下を歩き少し離れた場所へ連れて行かれた。
 先頭の男が大きな鉄の扉の鍵を開き、三人はその中に押し入れられた。



 「作業については、そいつが説明する。
 言われた通りにちゃんと働くんだぞ!
トーマス、頼んだぞ。」

 「へい。」



 衛兵に愛想笑いを浮かべて返事をしたのは、比較的小柄で華奢な印象を受ける黒い髪の男だった。
 男達は、返事を聞くと今来た道を引き返す。



 「さ、こっちだ!」

 「ちょっと待てよ。
ここは一体どこなんだ。
 俺達は…」

 「……そういうことは、聞かないほうが身の為だ。
あんまり嗅ぎ回ってると、ろくなことにならねぇぞ。」



トーマスという男は先頭を歩き、三人は仕方なく黙って彼の後に続いた。



 「要するに、ここでの仕事は監獄作りだ。
あんたらの中で、建築の経験のある奴はいるか?」

 三人は同時に首を振る。



 「だったら、穴掘りだな。
さ、そこにある道具を持って。
……こっちだ。」

 道具を持たされた三人は、トーマスについてさらに奥へ向かった。
 辿り着いた先では数人の男達がすでに働いており、トーマスは足を止めて声高に話し始めた。



 「水はあそこにある。
 昼にはちょっとした食べ物が支給される。
わからないことがあったら、あの金髪のサムに聞け。
 仕事は、朝6時から夜9時までだ。
 晩飯は部屋で支給される。
じゃ、頑張れよ。」

 「ちょっと待ってくれ。
そんなこと…」

 「さっきも言っただろ?
いろいろと知ろうとするな。
おまえ達は、ただ、言われたことだけをしていれば良いんだ。」

 妙に自信ありげな口調でそう言うと、トーマスは一人去って行った。
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