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王女

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 (スピロスさんはあんなこと言ってたけど…
ロダンさんが生きてなかったら、本当に他の策なんてあるんだろうか?
どこでどういう目に遭ってるかもわからないのに、その方法をみつけだすまでにマウリッツやウォルトさんに何事かあったらどうしよう…)



スピロスも去り、一人になった部屋の中で、ダニエルは不安な気持ちを抱え眠れない夜を過ごしていた。



 (ハンター達は魔導師だ。
 瞬間移動をしてしまったら、行き先がどこかなんて誰にもわからない。
 絆の護符以外に、どんな手立てがあるんだろう…
やっぱり、ハンターが狙いをつけそうな魔導師を雇ってその人に捕まってもらって…要はその場所を知らせる方法だな。
それさえどうにかなれば……でも、それが難しいからこそ、皆、帰って来られないのかもしれない。)

 助ける方法は何かないものかと考えれば考える程、それがいかに難しいことかを思い知ることになり、ダニエルの気持ちは深く沈んでいった。



 (あぁ、だめだ…こんなことで弱気になっちゃ…
 ……そういえば、王女のカードの謎もまだわかってないんだ。
ラーフィンの王女のことを明日リアナさんに聞いてみよう。
そうすれば、そこから何か役に立つ方法がわかるかもしれないし…
そうだ…もう一度あのカードを見てみよう。
 何か、見落としてることがあるかもしれない。)

ダニエルは、袋からカードを取り出した。



 (……ないっ!
あのカードが…王女のカードが消えている…)



 王女に結びつくようなものにはまだ何も出会っていないというのに、そのカードは消えていた。
ダニエルは注意深く部屋の中を探したが、どんなに探してもあのカードはどこからも見つけ出すことは出来なかった。



 (一体、どうなってるんだ?
まさかとは思うけど…スピロスさんか誰かが持ち出した?
スピロスさん以外は僕がカードを持ってることも知らない筈だから、知らないうちに僕が落として、それを誰かが拾って持って行ったんだろうか?)

ダニエルが大切なカードの管理を疎かにする筈はない。
だが、気を付けていても絶対に落とさないという保証もどこにもない。



 (困ったな…こんな時に、僕はなんてへまをやらかしてしまったんだ…)



ダニエルはもう一度、部屋の中を隈なく探し始めた。


 
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