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王女

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「そんなことがあったんですか。
ですが、それはあなたのせいなどではありません。
そんなことを気に病むより、これから皆で協力して彼らをみつけ救い出す事を考えましょうよ。
……そういえば、リアナさん…あなたのお故郷はどちらですか?」

 「……ラーフィンの片田舎です。」



 「ラーフィン!」



 不意に声を上げたダニエルに、リアナは不思議そうな顔を向けた。



 「もしかしたら、ダニエルさんもラーフィンから?」

 「い…いえ、そういうわけではないんです。
あ、あの…暖かくて良い所だと聞いていたので、ちょっと気になってただけです。」

 「そうでしたか…」

 事情を知るスピロス達は、ダニエルがリアナをうまく誤魔化したことにほっと胸を撫で下ろす。



 「確かに気温は温暖ですが、若い者にとっては退屈な場所かもしれませんね。
これといった娯楽もありませんし…都会からたまに来られるのも、骨休めや釣り目当ての人くらいのものです。
たいした宿もありませんし、様々な点で便利とは言えませんから、観光で人が集まるような場所ではありません。」

 「そうなんですか。
 僕はいくつかの国を巡りましたが、ラーフィンにはまだ行ったことはないんですよ。
それで、リアナさんはどんなお仕事をされてたんですか?」

 「魚や果物を缶詰にする小さな工場です。
でも、新鮮な魚や果物はやはり生で食べてこそおいしいもの…
そのせいか、業績も上がらず、とうとう閉鎖されてしまったんです。
いえ…頑張ればまだ続けられたのかもしれませんが、オーナーはけっこう高齢でしたから、やる気を失われたということかもしれません。
ラーフィンでは、定職に就いていなくても食べるものには困ることはありません。
 魚も果物も野菜も食べきれない程豊富にありますし、家をもたない者はいませんから。
たとえ、外で野宿したとしても暖かいので風邪をひくようなこともありません。
それに、店といえば生活に必要なものを売る店があるだけのことで、宝石等贅沢なものを売る店はありませんし、お金を持っていても使う場所がないんです。
 大酒を飲むとか何か特別なことをしない限りは、誰もが程ほどの生活が出来、安全に暮らせる国なんです。
もちろん、ハンターなんて現れたことはありませんでした。
 人の噂でそういう者がいることは聞いてはいましたが、自分とは関係のないもののように感じていました。
それ程に、平和でのどかな国なんです。
 父さんはそれを知って、ラーフィンに移ったのかもしれません。」 
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