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王女

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 「おかしいね…アレクは一体どうしてるんだろうね?」

 「そうですね…ダニエルの友達がみつからないのでしょうか?」

すぐに二人を連れて戻って来ると思われていたアレクが、数日経っても帰って来ない事で、アドニアやスピロスの胸に不安が過った。



 「まさか…僕を狙った奴らが、アレクさんにまで…」

 「それはないよ。
あんたとアレクの間に繋がりがあるなんて、私達しか知らないんだから。」

 「でも、それならどうしてアレクさんは…」

その答えをアドニアやスピロスが知るはずはなかった。



 「とにかく、今は待つしかないよ。」

 「ダニエル…心配することなんてありませんよ。
アレクはあぁ見えてもとても優秀な魔導師なんですから。」

 「……はい。」

そうは答えたものの、ダニエルの心の不安は時が経つにつれてますます大きく渦巻いた。



 (…アレク側に問題がないとしたら、もしかしたらマウリッツ達が捕まったんじゃ…
そうだ…ネストルはマウリッツのことはよく知ってるんだし、ウォルトって人も何度も入山許可を得るために麓の村には行ったことがあるはずだ。
そんな時にネストルはウォルトとも会ってるかもしれない。
……じゃあ、やっぱり二人が捕まったのか…!?)

 不安にかられたダニエルは、引出しの奥に仕舞い込んだカードに手を伸ばした。



 (あっ!)



ダニエルは、つい先日まで一番上に置いてあった魔導師のカードがなくなっていることに気がついた。



 (魔導師のカードがなくなっている…!
やっぱりアレクと出会ったことは正解だったってことなのか…
それはともかく、カード達よ…今のマウリッツ達の状況を何か教えてくれ!)

ダニエルは大きく深呼吸をすると、目をつぶり、慣れた手付きでカードをシャッフルし始めた。
そして、よくかきまぜられたカードの中から、ダニエルは一枚のカードを選び出した。
 表に返された真っ黒なカードに、少しずつ絵柄の輪郭が浮かび上がる。



 (これは……?)

そこに浮かび上がった絵柄は,王冠を頭に載せた若い女性の姿だった。
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