101 / 334
魔導士
1
しおりを挟む
(今時、こんな恰好をしてる者はいないだろうけど、きっとこれは「魔導師」を強調したものなんだろうな。
今、身近にいる魔導師といえばはスピロスさんだけだけど、じゃあ、スピロスさんに何かがあるってことか?
……いや、そうじゃない。
新しい魔導師との出会いの暗示とでも考える方が自然だろうな…
あぁ、もどかしい。
もう何枚かカードを引いて詳しく知りたいのに、このカードは一枚ずつしか引かせてくれないからな。)
ダニエルは、魔導師のカードをみつめながら小さな溜め息を吐き、そのまま寝台に身を沈めた。
(……もう一度今の状況を考えてみよう。
搭のカードが消えたってことは、僕の災難はもう終わった。
僕はなんとか危機を脱したんだ。
それで…今、すべきことは…そうだ、マウリッツ達をみつけ出す事だ。
でも、僕はまだこんな調子だから思うようには動けない。
……だったら、今、僕に出来ることは……)
そっと目を閉じ、ダニエルは心を静め今一度身の回りの状況を考えた。
「……そうだ!」
しばらくして、あるアイディアを思いついたダニエルは、思わず声をあげていた。
*
「そうだね…
確かにそうすれば早くにみつけられるかもしれないね。
だけどねぇ……」
次の日の朝、ダニエルから相談を持ちかけられたアドニアは、困ったような顔をスピロスの方に向ける。
「……ダニエル。
言いにくいことなんですが……魔導師に仕事を頼むには普通よりも割高の料金がかかるのですよ。
彼らは普通の人間が持たない特別な力を持っているのですから、それも当然といえば当然のことなんですが…」
「すまないね。
ちょっとくらいの金ならなんとかなるんだけど、魔導師には金がかかるからね…」
「そ、そうだったんですか……」
朝食の席で、ダニエルは昨夜思い付いた策をアドニアに話した。
それは、魔導師に頼んでマウリッツ達を探してもらうということだった。
マウリッツは、ラーフィンに向かってることはわかっているため、魔導師に先回りしてみつけてもらおうと考えたのだ。
だが、思わぬ所で考えもしていなかった障害が浮上した。
ディオニシスとしてリンガーにいる時のダニエルは、金を持つ必要等なかった。
必要なものも欲しいものも、すべて誰かが用意してくれた。
そのため、普段からダニエルは金を持ち歩く事はなく、もちろん今現在も一銭も持ってはいなかったのだ。
今、身近にいる魔導師といえばはスピロスさんだけだけど、じゃあ、スピロスさんに何かがあるってことか?
……いや、そうじゃない。
新しい魔導師との出会いの暗示とでも考える方が自然だろうな…
あぁ、もどかしい。
もう何枚かカードを引いて詳しく知りたいのに、このカードは一枚ずつしか引かせてくれないからな。)
ダニエルは、魔導師のカードをみつめながら小さな溜め息を吐き、そのまま寝台に身を沈めた。
(……もう一度今の状況を考えてみよう。
搭のカードが消えたってことは、僕の災難はもう終わった。
僕はなんとか危機を脱したんだ。
それで…今、すべきことは…そうだ、マウリッツ達をみつけ出す事だ。
でも、僕はまだこんな調子だから思うようには動けない。
……だったら、今、僕に出来ることは……)
そっと目を閉じ、ダニエルは心を静め今一度身の回りの状況を考えた。
「……そうだ!」
しばらくして、あるアイディアを思いついたダニエルは、思わず声をあげていた。
*
「そうだね…
確かにそうすれば早くにみつけられるかもしれないね。
だけどねぇ……」
次の日の朝、ダニエルから相談を持ちかけられたアドニアは、困ったような顔をスピロスの方に向ける。
「……ダニエル。
言いにくいことなんですが……魔導師に仕事を頼むには普通よりも割高の料金がかかるのですよ。
彼らは普通の人間が持たない特別な力を持っているのですから、それも当然といえば当然のことなんですが…」
「すまないね。
ちょっとくらいの金ならなんとかなるんだけど、魔導師には金がかかるからね…」
「そ、そうだったんですか……」
朝食の席で、ダニエルは昨夜思い付いた策をアドニアに話した。
それは、魔導師に頼んでマウリッツ達を探してもらうということだった。
マウリッツは、ラーフィンに向かってることはわかっているため、魔導師に先回りしてみつけてもらおうと考えたのだ。
だが、思わぬ所で考えもしていなかった障害が浮上した。
ディオニシスとしてリンガーにいる時のダニエルは、金を持つ必要等なかった。
必要なものも欲しいものも、すべて誰かが用意してくれた。
そのため、普段からダニエルは金を持ち歩く事はなく、もちろん今現在も一銭も持ってはいなかったのだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と-
一星
ファンタジー
至って普通のサラリーマン、松平善は車に跳ねられ死んでしまう。気が付くとそこはダンジョンの中。しかも体は子供になっている!? スキル? ステータス? なんだそれ。ゲームの様な仕組みがある異世界で生き返ったは良いが、こんな状況むごいよ神様。
ダンジョン攻略をしたり、ゴブリンたちを支配したり、戦争に参加したり、鳩を愛でたりする物語です。
基本ゆったり進行で話が進みます。
四章後半ごろから主人公無双が多くなり、その後は人間では最強になります。
あらゆる属性の精霊と契約できない無能だからと追放された精霊術師、実は最高の無の精霊と契約できたので無双します
名無し
ファンタジー
レオンは自分が精霊術師であるにもかかわらず、どんな精霊とも仮契約すらできないことに負い目を感じていた。その代わりとして、所属しているS級パーティーに対して奴隷のように尽くしてきたが、ある日リーダーから無能は雑用係でも必要ないと追放を言い渡されてしまう。
彼は仕事を探すべく訪れたギルドで、冒険者同士の喧嘩を仲裁しようとして暴行されるも、全然痛みがなかったことに違和感を覚える。
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
転移先は薬師が少ない世界でした
饕餮
ファンタジー
★この作品は書籍化及びコミカライズしています。
神様のせいでこの世界に落ちてきてしまった私は、いろいろと話し合ったりしてこの世界に馴染むような格好と知識を授かり、危ないからと神様が目的地の手前まで送ってくれた。
職業は【薬師】。私がハーブなどの知識が多少あったことと、その世界と地球の名前が一緒だったこと、もともと数が少ないことから、職業は【薬師】にしてくれたらしい。
神様にもらったものを握り締め、ドキドキしながらも国境を無事に越え、街でひと悶着あったから買い物だけしてその街を出た。
街道を歩いている途中で、魔神族が治める国の王都に帰るという魔神族の騎士と出会い、それが縁で、王都に住むようになる。
薬を作ったり、ダンジョンに潜ったり、トラブルに巻き込まれたり、冒険者と仲良くなったりしながら、秘密があってそれを話せないヒロインと、ヒロインに一目惚れした騎士の恋愛話がたまーに入る、転移(転生)したヒロインのお話。
追放された最強令嬢は、新たな人生を自由に生きる
灯乃
ファンタジー
旧題:魔眼の守護者 ~用なし令嬢は踊らない~
幼い頃から、スウィングラー辺境伯家の後継者として厳しい教育を受けてきたアレクシア。だがある日、両親の離縁と再婚により、後継者の地位を腹違いの兄に奪われる。彼女は、たったひとりの従者とともに、追い出されるように家を出た。
「……っ、自由だーーーーーーっっ!!」
「そうですね、アレクシアさま。とりあえずあなたは、世間の一般常識を身につけるところからはじめましょうか」
最高の淑女教育と最強の兵士教育を施されたアレクシアと、そんな彼女の従者兼護衛として育てられたウィルフレッド。ふたりにとって、『学校』というのは思いもよらない刺激に満ちた場所のようで……?
人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚
咲良喜玖
ファンタジー
アーリア戦記から抜粋。
帝国歴515年。サナリア歴3年。
新国家サナリア王国は、超大国ガルナズン帝国の使者からの宣告により、国家存亡の危機に陥る。
アーリア大陸を二分している超大国との戦いは、全滅覚悟の死の戦争である。
だからこそ、サナリア王アハトは、帝国に従属することを決めるのだが。
当然それだけで交渉が終わるわけがなく、従属した証を示せとの命令が下された。
命令の中身。
それは、二人の王子の内のどちらかを選べとの事だった。
出来たばかりの国を守るために、サナリア王が判断した人物。
それが第一王子である【フュン・メイダルフィア】だった。
フュンは弟に比べて能力が低く、武芸や勉学が出来ない。
彼の良さをあげるとしたら、ただ人に優しいだけ。
そんな人物では、国を背負うことが出来ないだろうと、彼は帝国の人質となってしまったのだ。
しかし、この人質がきっかけとなり、長らく続いているアーリア大陸の戦乱の歴史が変わっていく。
西のイーナミア王国。東のガルナズン帝国。
アーリア大陸の歴史を支える二つの巨大国家を揺るがす英雄が誕生することになるのだ。
偉大なる人質。フュンの物語が今始まる。
他サイトにも書いています。
こちらでは、出来るだけシンプルにしていますので、章分けも簡易にして、解説をしているあとがきもありません。
小説だけを読める形にしています。
前世で家族に恵まれなかった俺、今世では優しい家族に囲まれる 俺だけが使える氷魔法で異世界無双
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
家族や恋人もいなく、孤独に過ごしていた俺は、ある日自宅で倒れ、気がつくと異世界転生をしていた。
神からの定番の啓示などもなく、戸惑いながらも優しい家族の元で過ごせたのは良かったが……。
どうやら、食料事情がよくないらしい。
俺自身が美味しいものを食べたいし、大事な家族のために何とかしないと!
そう思ったアレスは、あの手この手を使って行動を開始するのだった。
これは孤独だった者が家族のために奮闘したり、時に冒険に出たり、飯テロしたり、もふもふしたりと……ある意味で好き勝手に生きる物語。
しかし、それが意味するところは……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる