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崩れる塔
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「わぁ!なんて寒いんだ!」
マウリッツは、顔をしかめ背を丸め、両腕で自分の身体を抱き締めた。
「へ、陛下!!
大変でございます!
結界に裂け目が…!」
リガスが一点を指差し、青い顔をしてそれをみつめる。
「ど、どこだ!
どこに裂け目が!?」
「あそこでございます。」
マウリッツとセルギオスは薄暗がりで懸命に目を凝らし、結界の避け目を探した。
「あ、わかった!あれだ!
陛下、ここに立ってこの方向のこの高さの所をご覧下さい。
一部、ゆらゆらと空気が揺らめいて…」
「見えた!わかったぞ、マウリッツ!」
マウリッツの事細かな説明のおかげで、セルギオスも結界の裂け目を発見することが出来た。
「リガス……結界に裂け目が出来ているということは、まさか……」
リガスは、神妙な面持ちで深く頷く。
「その通りです。
何者かがここを通った…そう考えるのが自然でしょう。
結界が閉じきっていないことから、破られてそう時間は経っていないと思われます。」
「それじゃあ、ディオはロージックに…!?」
「おそらく…」
「しかし、この結界はリンガー側とロージック側からかけられた結界がぶつかる場所…
ここを通り抜けることなど本当に出来るのか?」
「まず、私と同等の魔力を持つ者ならこの結界の一部分を破ることは出来るでしょう。
もしくは何人かで協力すれば破る事は可能だと思います。
ですが、両国の結界の種類は違い、ここには二種類の結界が渦を巻くように存在しており、それはさながら刃の嵐のようなものと考えられております。
そんな中を生身の人間が無事に通り抜けられるかどうかは…
……未だ誰も試したこともありませんから、そのあたりのことはなんとも申せません…」
「で…では、ディオニシスは……」
セルギオスの顔から血の気が失せ、白くなった唇がわなわなと震える。
「わぁ!なんて寒いんだ!」
マウリッツは、顔をしかめ背を丸め、両腕で自分の身体を抱き締めた。
「へ、陛下!!
大変でございます!
結界に裂け目が…!」
リガスが一点を指差し、青い顔をしてそれをみつめる。
「ど、どこだ!
どこに裂け目が!?」
「あそこでございます。」
マウリッツとセルギオスは薄暗がりで懸命に目を凝らし、結界の避け目を探した。
「あ、わかった!あれだ!
陛下、ここに立ってこの方向のこの高さの所をご覧下さい。
一部、ゆらゆらと空気が揺らめいて…」
「見えた!わかったぞ、マウリッツ!」
マウリッツの事細かな説明のおかげで、セルギオスも結界の裂け目を発見することが出来た。
「リガス……結界に裂け目が出来ているということは、まさか……」
リガスは、神妙な面持ちで深く頷く。
「その通りです。
何者かがここを通った…そう考えるのが自然でしょう。
結界が閉じきっていないことから、破られてそう時間は経っていないと思われます。」
「それじゃあ、ディオはロージックに…!?」
「おそらく…」
「しかし、この結界はリンガー側とロージック側からかけられた結界がぶつかる場所…
ここを通り抜けることなど本当に出来るのか?」
「まず、私と同等の魔力を持つ者ならこの結界の一部分を破ることは出来るでしょう。
もしくは何人かで協力すれば破る事は可能だと思います。
ですが、両国の結界の種類は違い、ここには二種類の結界が渦を巻くように存在しており、それはさながら刃の嵐のようなものと考えられております。
そんな中を生身の人間が無事に通り抜けられるかどうかは…
……未だ誰も試したこともありませんから、そのあたりのことはなんとも申せません…」
「で…では、ディオニシスは……」
セルギオスの顔から血の気が失せ、白くなった唇がわなわなと震える。
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