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崩れる塔
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「ディオ、起きろ!
さぁ、朝日を見に行くぞ!」
「え……」
まだ薄暗いうちから起こされたディオニシスは、そんなことよりももう少し眠っていたいというのが本音ではあったが、せっかくのネストルの好意を無にしては悪いと思い、懸命に起きあがった。
「ネストル様、おはようございます。」
ネストル達が身支度を整え、出入り口の方へ向かうと、すでに起きていた隊員の二人と出くわした。
「なんだ、おまえ達、もう起きてたのか。
私はディオに朝日を見せてやろうと思ってな。
……どうだ、おまえ達も一緒に行くか?
のんびり朝日を眺めることなんて、この所なかったもんな。」
「はい!ぜひ、お供させていただきます!」
隊員は声を揃えて答えた。
「……外はずいぶんと寒いんだね。
ねぇ、ネストルその場所までは遠いの?
ここからじゃ見えないのかな?」
「これが寒い?
おまえ、そんなんでよく探険隊に入りたいなんて言ってたものだな。
心配するな。すぐそこに絶景の場所があるんだ。」
宿舎を出てすぐのことだった。
ディオニシス達の背後から声が上がり、マウリッツが手を振りながら走って来るのが四人の目に映った。
「こんな早くから一体どこに行くんだ?」
「ネストルが朝日を見せてくれるって…とても綺麗に見える場所があるらしいよ。」
「へぇ、朝日か。
そりゃあ良いな。
俺も連れて行ってくれよ。」
「……君はえらく早起きなんだな。」
「昨夜は早くに寝たから早くに目が覚めたんだ。
あぁ~、それにしても朝の空気は本当に気持ち良いなぁ…」
マウリッツは、両手を伸ばし、気持ち良さそうに伸びをする。
そんなマウリッツの様子を隊員達はどこか疎ましげに見つめた。
マウリッツは自分があまり歓迎されていないことにも気付かず、隊員達にも陽気に話し掛けた。
「ほら、あそこだ。」
「わぁ…!
……なんて綺麗なんだろう…!」
宿舎から散歩程度に歩いたその場所は切り立った崖になっており、少しずつ空を赤く染めながら顔を出す大きな太陽を目の当たりにしたディオニシスは、思わず感嘆の声を上げた。
「ディオ、起きろ!
さぁ、朝日を見に行くぞ!」
「え……」
まだ薄暗いうちから起こされたディオニシスは、そんなことよりももう少し眠っていたいというのが本音ではあったが、せっかくのネストルの好意を無にしては悪いと思い、懸命に起きあがった。
「ネストル様、おはようございます。」
ネストル達が身支度を整え、出入り口の方へ向かうと、すでに起きていた隊員の二人と出くわした。
「なんだ、おまえ達、もう起きてたのか。
私はディオに朝日を見せてやろうと思ってな。
……どうだ、おまえ達も一緒に行くか?
のんびり朝日を眺めることなんて、この所なかったもんな。」
「はい!ぜひ、お供させていただきます!」
隊員は声を揃えて答えた。
「……外はずいぶんと寒いんだね。
ねぇ、ネストルその場所までは遠いの?
ここからじゃ見えないのかな?」
「これが寒い?
おまえ、そんなんでよく探険隊に入りたいなんて言ってたものだな。
心配するな。すぐそこに絶景の場所があるんだ。」
宿舎を出てすぐのことだった。
ディオニシス達の背後から声が上がり、マウリッツが手を振りながら走って来るのが四人の目に映った。
「こんな早くから一体どこに行くんだ?」
「ネストルが朝日を見せてくれるって…とても綺麗に見える場所があるらしいよ。」
「へぇ、朝日か。
そりゃあ良いな。
俺も連れて行ってくれよ。」
「……君はえらく早起きなんだな。」
「昨夜は早くに寝たから早くに目が覚めたんだ。
あぁ~、それにしても朝の空気は本当に気持ち良いなぁ…」
マウリッツは、両手を伸ばし、気持ち良さそうに伸びをする。
そんなマウリッツの様子を隊員達はどこか疎ましげに見つめた。
マウリッツは自分があまり歓迎されていないことにも気付かず、隊員達にも陽気に話し掛けた。
「ほら、あそこだ。」
「わぁ…!
……なんて綺麗なんだろう…!」
宿舎から散歩程度に歩いたその場所は切り立った崖になっており、少しずつ空を赤く染めながら顔を出す大きな太陽を目の当たりにしたディオニシスは、思わず感嘆の声を上げた。
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