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決意
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「じゃあ、僕は遊びに行って来るからな。
いつ帰るかはわからない。」
サマンサは、冷たいルークの言葉に何も言えず、ただ彼の後ろ姿を見送るだけだった。
(ルーク……)
*
ルークは町の酒場に足を踏み入れた。
ほんの少し前までは、ほとんど飲んだことのなかった酒も、今のルークにとっては水と変わらないものだった。
ルークは、グラスを脇に退け、酒を瓶ごとあおる。
「よぉ、兄ちゃん…顔に似合わず良い飲みっぷりだな。」
「僕に構うな。」
「荒れてるんだな…おぉ、こわ。
何、ちょっと話を聞きたいだけだ。
それだけ聞いたらすぐに消えるから…」
「……なんだ。」
「あんた、オルジェスっていう悪魔を知らないか?」
「オルジェスだと……?」
ルークは男の胸ぐらを掴み、刺すような視線で男をみつめた。
「……何のために、オルジェスを探している?」
「離せよ。」
男はルークの手を払いのけた。
「兄ちゃん、俺を甘く見ない方が良いぜ。
……俺は、人間じゃない。悪魔なんだぜ。」
「それがどうした?
どうせおまえなんか三流の悪魔だろう。」
「何を…!ちょっと表に出ろ…!」
悪魔は酒場の裏にルークを誘い出す。
「なめたことばかり言ってるとどうなるか、教えてやるぜ!」
そう言いながら飛びかかって来た悪魔の腕を、ルークはナイフで切り付けた。
「こ、この野郎…!」
飛び散る血を見た悪魔は逆上し、再びルークに襲い掛かる。
ルークは悪魔の攻撃を交わすことが精一杯で、なかなか反撃出来なかった。
その間にも、悪魔の攻撃は激しさを増し、ルークの顔からは血が流れ、殴られたところが赤く腫れ上がった。
しかし、それでも、ルークは諦めなかった。
朦朧として行く意識の中で、がむしゃらに手足を振り回し、何度も悪魔に斬りつける。
「じゃあ、僕は遊びに行って来るからな。
いつ帰るかはわからない。」
サマンサは、冷たいルークの言葉に何も言えず、ただ彼の後ろ姿を見送るだけだった。
(ルーク……)
*
ルークは町の酒場に足を踏み入れた。
ほんの少し前までは、ほとんど飲んだことのなかった酒も、今のルークにとっては水と変わらないものだった。
ルークは、グラスを脇に退け、酒を瓶ごとあおる。
「よぉ、兄ちゃん…顔に似合わず良い飲みっぷりだな。」
「僕に構うな。」
「荒れてるんだな…おぉ、こわ。
何、ちょっと話を聞きたいだけだ。
それだけ聞いたらすぐに消えるから…」
「……なんだ。」
「あんた、オルジェスっていう悪魔を知らないか?」
「オルジェスだと……?」
ルークは男の胸ぐらを掴み、刺すような視線で男をみつめた。
「……何のために、オルジェスを探している?」
「離せよ。」
男はルークの手を払いのけた。
「兄ちゃん、俺を甘く見ない方が良いぜ。
……俺は、人間じゃない。悪魔なんだぜ。」
「それがどうした?
どうせおまえなんか三流の悪魔だろう。」
「何を…!ちょっと表に出ろ…!」
悪魔は酒場の裏にルークを誘い出す。
「なめたことばかり言ってるとどうなるか、教えてやるぜ!」
そう言いながら飛びかかって来た悪魔の腕を、ルークはナイフで切り付けた。
「こ、この野郎…!」
飛び散る血を見た悪魔は逆上し、再びルークに襲い掛かる。
ルークは悪魔の攻撃を交わすことが精一杯で、なかなか反撃出来なかった。
その間にも、悪魔の攻撃は激しさを増し、ルークの顔からは血が流れ、殴られたところが赤く腫れ上がった。
しかし、それでも、ルークは諦めなかった。
朦朧として行く意識の中で、がむしゃらに手足を振り回し、何度も悪魔に斬りつける。
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