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決意
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「そ、そんな…急に酷いよ!」
「すまないな、ルーク。
しかし、これは以前から決めていたことだ。
このところいろいろあってのびのびになっていたが、そうゆっくりとしてるわけにもいかないからな。」
「心配するなよ。
暇をみて報告がてら会いに来るから。
あ……サマンサがいるから、俺なんか来ない方が良いかな?」
にやにやと笑いながら冷やかすオルジェスに、ルークは眉をひそめた。
「サマンサなんかと一緒にいたって、暇潰しにもならないよ。
ベルナール、狩りに行くなら僕にも何か手伝わせてよ!」
「……ルーク…今度の相手は男だぞ。
それでも良いのか?」
ベルナールが答えるより早く、オルジェスがルークの耳もとで囁いた。
「お、男……」
ルークは小さな声でそう言ったっきり、唇を噛み締めて俯く。
「ルーク…こうしている間にも、いつ、トレルにみつかるかわからない。
あいつのことだ……私達に報復するためにたちの悪い悪魔達とつるんでるかもしれない。
そうなると、今の私とオルジェスの力ではやられてしまうこともないとは言えない…
だから、そんな事にならないためにも、狩りをして我々の力を出来るだけ強化しておかねばならんのだ。」
「ベルナール!
前から考えてたんだけど…僕も悪魔になりたいんだ!
頼む!
僕も悪魔になって、君達と一緒にトレル達に復讐したい!
お願いだ!僕に悪魔の心臓を食べさせておくれよ!」
感情的な声を上げるルークの頬を、ベルナールの手が激しく叩いた。
「悪魔の心臓を食べさせろだと?
甘ったれたことを言うな!
おまえが本気で悪魔になりたいのなら、その手で悪魔の心臓を手に入れるんだな!
それも、下っ端ではない上級の悪魔の心臓を…
しかし、言っておく。
上級悪魔の心臓を奪う事は、私達にとっても生死を賭けた戦いなのだ。
狩りという言葉を軽く考えるな。
私達が時間をかけ、作戦を練り、二人で協力してようやく勝ち取れるものだ。
そこに行きつくまでには、屈辱的なことにも自分の心を殺して懸命に耐えているんだぞ。
容易く考えるんじゃない!」
ルークは打たれた頬に片手をあて、珍しく高ぶった様子のベルナールをみつめていた。
「そ、そんな…急に酷いよ!」
「すまないな、ルーク。
しかし、これは以前から決めていたことだ。
このところいろいろあってのびのびになっていたが、そうゆっくりとしてるわけにもいかないからな。」
「心配するなよ。
暇をみて報告がてら会いに来るから。
あ……サマンサがいるから、俺なんか来ない方が良いかな?」
にやにやと笑いながら冷やかすオルジェスに、ルークは眉をひそめた。
「サマンサなんかと一緒にいたって、暇潰しにもならないよ。
ベルナール、狩りに行くなら僕にも何か手伝わせてよ!」
「……ルーク…今度の相手は男だぞ。
それでも良いのか?」
ベルナールが答えるより早く、オルジェスがルークの耳もとで囁いた。
「お、男……」
ルークは小さな声でそう言ったっきり、唇を噛み締めて俯く。
「ルーク…こうしている間にも、いつ、トレルにみつかるかわからない。
あいつのことだ……私達に報復するためにたちの悪い悪魔達とつるんでるかもしれない。
そうなると、今の私とオルジェスの力ではやられてしまうこともないとは言えない…
だから、そんな事にならないためにも、狩りをして我々の力を出来るだけ強化しておかねばならんのだ。」
「ベルナール!
前から考えてたんだけど…僕も悪魔になりたいんだ!
頼む!
僕も悪魔になって、君達と一緒にトレル達に復讐したい!
お願いだ!僕に悪魔の心臓を食べさせておくれよ!」
感情的な声を上げるルークの頬を、ベルナールの手が激しく叩いた。
「悪魔の心臓を食べさせろだと?
甘ったれたことを言うな!
おまえが本気で悪魔になりたいのなら、その手で悪魔の心臓を手に入れるんだな!
それも、下っ端ではない上級の悪魔の心臓を…
しかし、言っておく。
上級悪魔の心臓を奪う事は、私達にとっても生死を賭けた戦いなのだ。
狩りという言葉を軽く考えるな。
私達が時間をかけ、作戦を練り、二人で協力してようやく勝ち取れるものだ。
そこに行きつくまでには、屈辱的なことにも自分の心を殺して懸命に耐えているんだぞ。
容易く考えるんじゃない!」
ルークは打たれた頬に片手をあて、珍しく高ぶった様子のベルナールをみつめていた。
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