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決意

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「大丈夫か?サマンサ…」

 「え……ええ……
でも……」

 「……信じられない…?」

 「ご、ごめんなさい…
あなたの話を信じてないってわけじゃないんです。
ただ…イアンさんはとても優しい人だったし、トレルおじさんとも一緒に住むくらい仲が良くて…」

サマンサはベルナールに気を遣うように、おずおずとそう答えた。



 「謝る事はないさ。
 君がそう思うのも当然だ。
それだけあいつは巧妙で性質が悪いんだ。
……おそらく、ランディもあいつに出会うことがなければ、あんな風にはならなかったかもしれない。
 奴はきっとトレルにそそのかされてしまったんだろうな…
 ……イアンのような目に遇わなければ良いが…」

 「ま、まさか、そんなこと……」

サマンサは、不安に満ちた瞳でベルナールをみつめた。



 「……そうならないことを私も祈っているよ…
ところで、サマンサ…
ランディのことなんだが、奴はルークにやられたことを誰にも言わなかったんだな?」

 「ええ…父さんは、見知らぬ男にやられたとしか言わなかった…
だから、皆、その話を信じています。」

 「そうか…サマンサ……ルークがなぜランディにあんなひどいことをしたかわかるか?」

 「いいえ…ベルナールさんはその理由をご存知なんですか!?」

サマンサは急に早い口調になり、その瞳は大きく見開かれた。



 「ルークは私やオルジェスにもランディを痛めつけたことをずっと隠していた。
 殺してしまったと思い込み、一人で思い悩んでいたようだ。
だが、あいつは理由もなくそんなことをする奴ではない。」

 「わかってます!
だから、きっときっと何か理由があるんだろうと思ってました!」

ベルナールはサマンサのその言葉にゆっくりと頷いた。



 「……ランディは君の家の火事をルークの仕業だと決めつけたらしい。
ルークが違うと言っても信じなかった…
そりゃあ君にあんなことをしたのだし、ローリーをさらったりもしたのだから、ランディがそう思うのも無理はない話だが…それでも、ルークにとっては大きなショックだったのだと思う。
それで、ルークはキレてしまったんだな…
信じてもらえなかったことが酷く悲しかったのだと思う。
あいつ…ランディのことなんて、もう父親だと思っていないと口では言っていたが…
本心はそうではなかったのだろう。
だが、そのランディに火事の犯人と決め付けられて…ルークの心は深く傷付きどうしようもなくなって、ランディへぶつけてしまったのだろう。
 私達にさえ言えない程、奴は心を傷めていたんだ…」

 「そんなことが……」

サマンサは目を潤ませ、唇をきつく噛み締めた。

 
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