319 / 355
決意
35
しおりを挟む
*
「僕は以前のルークとは違うってこと、これでよくわかった?
今の僕が本当の僕なんだ。
昔のあのお人良しで意気地なしのルークはもういない。
もう二度とあんな風には戻らない。」
「……あ、あなたは意気地なしなんかじゃなかったわ…」
サマンサは切れて赤い血のこびり付いた唇をゆっくりと動かした。
「何だって…?」
「あなたはとても優しくて繊細で素直で…あれが本当のあなたよ…
今のあなたはあなたじゃない…」
「うるさい!」
ルークは、サマンサの腹を蹴り、ベッドの下に蹴落とした。
サマンサは低いうめき声を上げ、やがてゆっくりと起き上がる。
「こんなことであなたの気が晴れるなら…私はいくらでも受け止める。
だって……だって、私は、ずっとあなたのことが…子供の頃からずっとあなたのことが好きだったんだもの…」
サマンサはベッドの縁に顔を埋めて泣き出した。
「好きだって?
あんなことをされておいて、まだそんなことを…おまえは相当な甘ちゃんだな。
残念だけど、僕はおまえのことなんて何とも思っちゃいない。
僕は誰のことも愛さないからね。
女なんて、僕にとっちゃあ欲望を吐き出すための道具でしかないよ。
僕が信じてるのはオルジェスと……
そうだ、サマンサ!火事の時のことを詳しく話せ!」
「……火事のこと…?
……あなた火事のことを誰に…」
ルークの激しい気迫に、サマンサは反射的に言葉を返す。
「そんなことはどうでも良い!
コージーの遺体がみつからなかったっていうのは本当なのか!?
一体、なんで火事なんか起きたんだ!」
サマンサは、腫れ上がり開く事もままならない瞼の下からルークをじっと見上げ、火事の状況について話し始めた。
当時、ランディはサーリックにはおらず、最初は皆逃げ出せたと思っていたが、ローリーだけが屋根裏部屋に取り残されており、再び屋敷の中に戻ったコージーがローリーを窓から放り投げて救った直後に火に巻かれてしまったこと、コージーの遺体はおろか、家の一部さえも残らず燃やし尽されてしまったために火元さえわからなかったということを…
「やっぱり……本当だったのか……」
ルークはがっくりと肩を落として俯いた。
「僕は以前のルークとは違うってこと、これでよくわかった?
今の僕が本当の僕なんだ。
昔のあのお人良しで意気地なしのルークはもういない。
もう二度とあんな風には戻らない。」
「……あ、あなたは意気地なしなんかじゃなかったわ…」
サマンサは切れて赤い血のこびり付いた唇をゆっくりと動かした。
「何だって…?」
「あなたはとても優しくて繊細で素直で…あれが本当のあなたよ…
今のあなたはあなたじゃない…」
「うるさい!」
ルークは、サマンサの腹を蹴り、ベッドの下に蹴落とした。
サマンサは低いうめき声を上げ、やがてゆっくりと起き上がる。
「こんなことであなたの気が晴れるなら…私はいくらでも受け止める。
だって……だって、私は、ずっとあなたのことが…子供の頃からずっとあなたのことが好きだったんだもの…」
サマンサはベッドの縁に顔を埋めて泣き出した。
「好きだって?
あんなことをされておいて、まだそんなことを…おまえは相当な甘ちゃんだな。
残念だけど、僕はおまえのことなんて何とも思っちゃいない。
僕は誰のことも愛さないからね。
女なんて、僕にとっちゃあ欲望を吐き出すための道具でしかないよ。
僕が信じてるのはオルジェスと……
そうだ、サマンサ!火事の時のことを詳しく話せ!」
「……火事のこと…?
……あなた火事のことを誰に…」
ルークの激しい気迫に、サマンサは反射的に言葉を返す。
「そんなことはどうでも良い!
コージーの遺体がみつからなかったっていうのは本当なのか!?
一体、なんで火事なんか起きたんだ!」
サマンサは、腫れ上がり開く事もままならない瞼の下からルークをじっと見上げ、火事の状況について話し始めた。
当時、ランディはサーリックにはおらず、最初は皆逃げ出せたと思っていたが、ローリーだけが屋根裏部屋に取り残されており、再び屋敷の中に戻ったコージーがローリーを窓から放り投げて救った直後に火に巻かれてしまったこと、コージーの遺体はおろか、家の一部さえも残らず燃やし尽されてしまったために火元さえわからなかったということを…
「やっぱり……本当だったのか……」
ルークはがっくりと肩を落として俯いた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

帰らずの森のある騒動記 (旧 少女が魔女になったのは)
志位斗 茂家波
ファンタジー
平凡だったけど、皆が幸せに暮らしていた小国があった。
けれどもある日、大国の手によって攻められ、その国は滅びてしまった。
それから捕えられ、とある森にその国の王女だった少女が放置されるが、それはとある出会いのきっかけになった‥‥‥
・・・・・ちょっと短め。構想中の新たな連載物の過去話予定。
人気のある無しに関わらず、その連載ができるまでは公開予定。ちまちまと別視点での話を更新したりするかも。
2018/01/18 旧「少女が魔女になったのは」
変更し、「帰らずの森のある騒動記」にしました。

異世界に来たからといってヒロインとは限らない
あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理!
ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※
ファンタジー小説大賞結果発表!!!
\9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/
(嬉しかったので自慢します)
書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン)
変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします!
(誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願
※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。
* * *
やってきました、異世界。
学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。
いえ、今でも懐かしく読んでます。
好きですよ?異世界転移&転生モノ。
だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね?
『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。
実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。
でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。
モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ?
帰る方法を探して四苦八苦?
はてさて帰る事ができるかな…
アラフォー女のドタバタ劇…?かな…?
***********************
基本、ノリと勢いで書いてます。
どこかで見たような展開かも知れません。
暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。

転生貴族可愛い弟妹連れて開墾します!~弟妹は俺が育てる!~
桜月雪兎
ファンタジー
祖父に勘当された叔父の襲撃を受け、カイト・ランドール伯爵令息は幼い弟妹と幾人かの使用人たちを連れて領地の奥にある魔の森の隠れ家に逃げ込んだ。
両親は殺され、屋敷と人の住まう領地を乗っ取られてしまった。
しかし、カイトには前世の記憶が残っており、それを活用して魔の森の開墾をすることにした。
幼い弟妹をしっかりと育て、ランドール伯爵家を取り戻すために。
転移先は薬師が少ない世界でした
饕餮
ファンタジー
★この作品は書籍化及びコミカライズしています。
神様のせいでこの世界に落ちてきてしまった私は、いろいろと話し合ったりしてこの世界に馴染むような格好と知識を授かり、危ないからと神様が目的地の手前まで送ってくれた。
職業は【薬師】。私がハーブなどの知識が多少あったことと、その世界と地球の名前が一緒だったこと、もともと数が少ないことから、職業は【薬師】にしてくれたらしい。
神様にもらったものを握り締め、ドキドキしながらも国境を無事に越え、街でひと悶着あったから買い物だけしてその街を出た。
街道を歩いている途中で、魔神族が治める国の王都に帰るという魔神族の騎士と出会い、それが縁で、王都に住むようになる。
薬を作ったり、ダンジョンに潜ったり、トラブルに巻き込まれたり、冒険者と仲良くなったりしながら、秘密があってそれを話せないヒロインと、ヒロインに一目惚れした騎士の恋愛話がたまーに入る、転移(転生)したヒロインのお話。
いずれ最強の錬金術師?
小狐丸
ファンタジー
テンプレのごとく勇者召喚に巻き込まれたアラフォーサラリーマン入間 巧。何の因果か、女神様に勇者とは別口で異世界へと送られる事になる。
女神様の過保護なサポートで若返り、外見も日本人とはかけ離れたイケメンとなって異世界へと降り立つ。
けれど男の希望は生産職を営みながらのスローライフ。それを許さない女神特性の身体と能力。
はたして巧は異世界で平穏な生活を送れるのか。
**************
本編終了しました。
只今、暇つぶしに蛇足をツラツラ書き殴っています。
お暇でしたらどうぞ。
書籍版一巻〜七巻発売中です。
コミック版一巻〜二巻発売中です。
よろしくお願いします。
**************

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。
大国 鹿児
ファンタジー
輪廻転生のシステムのバグで輪廻の輪から外れちゃった!
でも神様から便利なチートグッズ(笑)の詰め合わせをもらって、
他の星に転生しました!特に使命も無いなら自由気ままに生きてみよう!
主人公はチート無双するのか!? それともハーレムか!?
はたまた、壮大なファンタジーが始まるのか!?
いえ、実は単なる趣味全開の主人公です。
色々な秘密がだんだん明らかになりますので、ゆっくりとお楽しみください。
*** 作品について ***
この作品は、真面目なチート物ではありません。
コメディーやギャグ要素やネタの多い作品となっております
重厚な世界観や派手な戦闘描写、ざまあ展開などをお求めの方は、
この作品をスルーして下さい。
*カクヨム様,小説家になろう様でも、別PNで先行して投稿しております。
貴族令嬢に生まれたからには念願のだらだらニート生活したい。
譚音アルン
ファンタジー
ブラック企業に勤めてたのがいつの間にか死んでたっぽい。気がつくと異世界の伯爵令嬢(第五子で三女)に転生していた。前世働き過ぎだったから今世はニートになろう、そう決めた私ことマリアージュ・キャンディの奮闘記。
※この小説はフィクションです。実在の国や人物、団体などとは関係ありません。
※2020-01-16より執筆開始。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる