深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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決意

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 「僕は以前のルークとは違うってこと、これでよくわかった?
 今の僕が本当の僕なんだ。
 昔のあのお人良しで意気地なしのルークはもういない。
もう二度とあんな風には戻らない。」

 「……あ、あなたは意気地なしなんかじゃなかったわ…」

サマンサは切れて赤い血のこびり付いた唇をゆっくりと動かした。



 「何だって…?」

 「あなたはとても優しくて繊細で素直で…あれが本当のあなたよ…
今のあなたはあなたじゃない…」

 「うるさい!」

ルークは、サマンサの腹を蹴り、ベッドの下に蹴落とした。
サマンサは低いうめき声を上げ、やがてゆっくりと起き上がる。



 「こんなことであなたの気が晴れるなら…私はいくらでも受け止める。
だって……だって、私は、ずっとあなたのことが…子供の頃からずっとあなたのことが好きだったんだもの…」

サマンサはベッドの縁に顔を埋めて泣き出した。



 「好きだって?
あんなことをされておいて、まだそんなことを…おまえは相当な甘ちゃんだな。
 残念だけど、僕はおまえのことなんて何とも思っちゃいない。
 僕は誰のことも愛さないからね。
 女なんて、僕にとっちゃあ欲望を吐き出すための道具でしかないよ。
 僕が信じてるのはオルジェスと……
そうだ、サマンサ!火事の時のことを詳しく話せ!」

 「……火事のこと…?
……あなた火事のことを誰に…」

ルークの激しい気迫に、サマンサは反射的に言葉を返す。



 「そんなことはどうでも良い!
コージーの遺体がみつからなかったっていうのは本当なのか!?
 一体、なんで火事なんか起きたんだ!」

サマンサは、腫れ上がり開く事もままならない瞼の下からルークをじっと見上げ、火事の状況について話し始めた。
 当時、ランディはサーリックにはおらず、最初は皆逃げ出せたと思っていたが、ローリーだけが屋根裏部屋に取り残されており、再び屋敷の中に戻ったコージーがローリーを窓から放り投げて救った直後に火に巻かれてしまったこと、コージーの遺体はおろか、家の一部さえも残らず燃やし尽されてしまったために火元さえわからなかったということを…



「やっぱり……本当だったのか……」

ルークはがっくりと肩を落として俯いた。
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