深淵に眠る十字架 The second

復讐の連鎖

８７

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 「いつまで寝てんだよ！」

ルークが激しくトレルの頬を打った。
 叩かれても、いまだ目覚めないトレルにルークは水差しの水を頭から浴びせ掛け、トレルはようやくうっすらと瞳を開けた。



 「トレル…久しぶりだな。」

トレルは声の方にゆっくりと視線を移し、やがて声の主がオルジェスだと気が付いたのか、何かを叫んだがそれは猿ぐつわのせいで言葉にはならなかった。



 「今から、おまえに面白いものを見せてやるよ。」

そう言いながら、オルジェスは着ているものを脱いでいく。
それが何を意味するのかを悟ったトレルは、懸命に身体を動かそうともがいたが、血が止まるほどきつくしめあげられた縄はびくともしなかった。



 「俺が大人になった証拠を見せてやるよ。」

オルジェスは、トレルの方に向かって笑いかけ、ゆっくりとベッドの上にあがった。



 「や…やめて……！」

ルキティアは、ベルナールに言われた通りに、オルジェスに怯えいやがるふりをした。



 「あんなおっさんよりも俺の方が若くて強いぜ。
 見られてたらますます興奮するだろう？」

オルジェスはルキティアの上にのしかかり、その首筋に口付けた。
ルキティアは、その途端、まるで火がついたように大きな声でトレルの名を呼び、懸命にオルジェスを拒絶する。
それはベルナールからの命令だった。
トレルの気持ちを動揺させるため、出来るだけ大袈裟にオルジェスに抵抗するように言いつけられていたのだった。
しかし、ルキティアのそんな態度が、オルジェスの身体に火を付けた。
オルジェスの興奮は高まり、痛め付けられたルキティアは全力であたってもその力に抵抗など出来る筈はなかった。
ルキティアは、血を吐くような声でトレルの名を泣き叫び、トレルもまた涙を流しながら必死にもがく。