深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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復讐の連鎖

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 「オルジェス、ちょっと、あたりの様子を見て来てくれ。」

 「この町の奴らは暗くなってからはめったなことじゃ外には出ないぜ。」

 「念のためだ…」

 「わかったよ…」

オルジェスは、渋々、洞窟の外に出た。



 「ルーク……私達がいない間に何かあったのか?」

 「えっ!?……べ、別に、な、なにもないよ…」

ルークは自分のやましさのためか、ベルナールから目を逸らした。



 「本当か?……今日のおまえはどこかおかしい。
 心ここにあらずといった感じではないか…」

ルークは俯いたまま、口を閉ざした。



 「そうか…言いたくないのならそれでも構わん。
だが、心が重くて仕方なくなったら、私に話すのだぞ。
おまえが苦しんでいる姿は見たくないからな…
それと、今回はおまえには頑張ってもらうぞ。
オルジェスはルキティアのことで頭がいっぱいだ。
あの女が男と一緒にいる所でも見たら、奴は何をやらかすかわからん。
 出来るだけ大きな騒ぎは起こしたくないからな。
 今、頼りになるのは…ルーク、おまえだけだ。」

 「……本当に?
 本当にこんな僕のことを頼りにしてくれるの?」

 「当たり前じゃないか。
おまえは、オルジェスのように感情的ではない。
 力はオルジェスよりは劣るが、そんなことは問題ではない。
おまえは信頼出来る男だ。
 頼んだぞ、ルーク…」

 「ぼ…僕、頑張るよ!」

ルークは、ベルナールの手を取り、堅く握り締めた。



 「実はな、ルーク…おまえにだけ話すが、とてもいやな予感がするのだ。
ここへ来てものすごくルキティアの気が強くなった。
あの女はすぐ近くにいると思うのだ。
ここは、トレルの家に近い…まさか、ルキティアの相手がトレルなんてことはないだろうか…と…
 ……いや、そんなことはない。
あるはずがない。
ルーク…つまらないことを言ってすまない。」

 「いや、ベルナール!
ないとは言えないよ!
トレルは女たらしだって、ランディもよく言っていた…」

 「そ、そんな……もしも、そんなことがあったら、オルジェスは……オルジェスの気持ちはどうなる!?
あいつは、あれでいてけっこう繊細な所がある
…そんなことがもしも現実にあったとしたら…
 ……ルーク、トレルの家には近付かないようにしよう。
……なに、そんなことがあるはずはないさ。
きっとルキティアの相手は別の男だ、そうに決まっている…」

ベルナールは、自分の考えを否定するかのように大袈裟に頭を振る。
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