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復讐の連鎖
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*
「だめだ……
このあたりにもルキティアの気を全く感じない。
もう少し移動してみよう。」
ルキティアを探し始めてから早くも三ヶ月近くの時が過ぎていたが、まだ何の手掛かりもみつかってはいなかった。
必死になって探すオルジェスとは裏腹に、ルークは、ルキティアを探す事自体に乗り気ではなく、ただ二人に着いて行くだけでまるで協力はしなかった。
*
「ベルナール…まだなのか?
あいつはもう完全に私の虜だ。
あんたがどんなことを考えてるのかわからないが、何かをしかけるのならもう十分なのではないか?
私は……もう限界だ。
早くあんたの所へ戻りたい!」
ベルナールの胸に顔を埋めたルキティアは、エルスールの口調を崩さないよう、慎重に言葉を選びながらその胸のうちをベルナールに伝えた。
「あぁ、わかっている。
もうすぐだ。
あと少しでこの計画は終わるから、もう少しだけ辛抱するのだ。」
「本当なんだな!
あと少し我慢したら…本当に終わるんだな!?」
「あぁ、本当だ…」
ベルナールは、ルキティアの髪を優しく撫でつけた。
「ベルナール…」
吐息混じりに囁いたルキティアの身体が熱を帯び、その指先がベルナールの身体の上を物欲しげに動き回る。
「……ルキティア…トレルにはいやというほど可愛がってもらっているのだろう?」
「あいつとは、あんたの命令だから寝てるだけだ。
私が本当に愛してるのは……わかってるだろう?」
ルキティアの潤んだ瞳が、ベルナールを熱くみつめる。
ベルナールは、その視線に冷たい微笑を返し、ルキティアの身体をそっと押し戻した。
「……あと少しだと言っているだろう?
さぁ、もう戻れ。
あまり長い間家を開けると、トレルに怪しまれるぞ。」
「……あんたは本当に冷たい男だな。」
「……私のことが嫌いになったか?」
「嫌いになれるくらいだったら、苦労はしないよ!!」
怒鳴りつけるような言葉を残し、ルキティアはその場から姿を消した。
(そろそろ、実行するか……)
ベルナールは、遠くをみつめ小さく微笑んだ。
「だめだ……
このあたりにもルキティアの気を全く感じない。
もう少し移動してみよう。」
ルキティアを探し始めてから早くも三ヶ月近くの時が過ぎていたが、まだ何の手掛かりもみつかってはいなかった。
必死になって探すオルジェスとは裏腹に、ルークは、ルキティアを探す事自体に乗り気ではなく、ただ二人に着いて行くだけでまるで協力はしなかった。
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「ベルナール…まだなのか?
あいつはもう完全に私の虜だ。
あんたがどんなことを考えてるのかわからないが、何かをしかけるのならもう十分なのではないか?
私は……もう限界だ。
早くあんたの所へ戻りたい!」
ベルナールの胸に顔を埋めたルキティアは、エルスールの口調を崩さないよう、慎重に言葉を選びながらその胸のうちをベルナールに伝えた。
「あぁ、わかっている。
もうすぐだ。
あと少しでこの計画は終わるから、もう少しだけ辛抱するのだ。」
「本当なんだな!
あと少し我慢したら…本当に終わるんだな!?」
「あぁ、本当だ…」
ベルナールは、ルキティアの髪を優しく撫でつけた。
「ベルナール…」
吐息混じりに囁いたルキティアの身体が熱を帯び、その指先がベルナールの身体の上を物欲しげに動き回る。
「……ルキティア…トレルにはいやというほど可愛がってもらっているのだろう?」
「あいつとは、あんたの命令だから寝てるだけだ。
私が本当に愛してるのは……わかってるだろう?」
ルキティアの潤んだ瞳が、ベルナールを熱くみつめる。
ベルナールは、その視線に冷たい微笑を返し、ルキティアの身体をそっと押し戻した。
「……あと少しだと言っているだろう?
さぁ、もう戻れ。
あまり長い間家を開けると、トレルに怪しまれるぞ。」
「……あんたは本当に冷たい男だな。」
「……私のことが嫌いになったか?」
「嫌いになれるくらいだったら、苦労はしないよ!!」
怒鳴りつけるような言葉を残し、ルキティアはその場から姿を消した。
(そろそろ、実行するか……)
ベルナールは、遠くをみつめ小さく微笑んだ。
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