241 / 355
復讐の連鎖
54
しおりを挟む
「……おまえはなかなかカンが良いようだな。
よし、わかった。
おまえがそれ程までに言うのなら抱いてやろう…
しかし、その前にこいつにおまえの血を与えよ。
……おまえは手加減というものをしなかったようだな。
あと少し遅ければ危ない所だった…」
「……わかったよ。」
ルキティアは、自らの腕をその長い爪に力を込めて切り裂いた。
真っ白な腕を真っ赤な血がのたうつ蛇のように流れ、ぽたぽたと赤い雫を垂らした。
「オルジェス…しっかりしろ、オルジェス…」
ベルナールが、声をかけ身体をゆすると、ゆっくりと腫れ上がった瞼が開いた。
「……だ…れだ……」
開いた瞳はなにも映していないのか、意識がまだはっきりとしていないのか、オルジェスは消え入りそうな小さな声で問う。
「オルジェス、私だ、ベルナールだ。
もう大丈夫だからな…」
「ベル…ナール…」
「そうだ。オルジェス。ベルナールだ。
すぐに楽になるから頑張るのだぞ。
さぁ、ルキティア、血を…」
ベルナールは、オルジェスを抱き抱え口を開かせた。
「オルジェス、ゆっくりと飲み込むのだ。
無理はするな…少しずつ…少しずつ…ゆっくりとな。」
ベルナールには言われるままに、オルジェスはゆっくりとその血をすすった。
何度か咳き込み、すすった血を何度か吐き戻しながらもオルジェスはルキティアの生温かい血の感触に酔いしれた。
「美味いだろう、オルジェス…
ようし、このくらいで良いだろう。
……ルキティア、使用人を呼んでオルジェスの手当てをさせろ。」
ルキティアは言われた通りに、使用人を呼び、オルジェスを引き渡した。
「良い子だ…」
ベルナールは、ルキティアのドレスを引き千切ると、それを細く裂き、彼女の腕に巻きつけた。
「あんた、ベルナールって言うんだね。
ベルナール、あんたの言うことはちゃんと聞いたよ…だから…」
出血のせいか、どこか焦点のはずれた眼差しを向けるルキティアの唇が、ベルナールの唇をねっとりと塞ぐ。
「……あぁ、わかっている…
おまえが満足するまで可愛がってやろう…」
よし、わかった。
おまえがそれ程までに言うのなら抱いてやろう…
しかし、その前にこいつにおまえの血を与えよ。
……おまえは手加減というものをしなかったようだな。
あと少し遅ければ危ない所だった…」
「……わかったよ。」
ルキティアは、自らの腕をその長い爪に力を込めて切り裂いた。
真っ白な腕を真っ赤な血がのたうつ蛇のように流れ、ぽたぽたと赤い雫を垂らした。
「オルジェス…しっかりしろ、オルジェス…」
ベルナールが、声をかけ身体をゆすると、ゆっくりと腫れ上がった瞼が開いた。
「……だ…れだ……」
開いた瞳はなにも映していないのか、意識がまだはっきりとしていないのか、オルジェスは消え入りそうな小さな声で問う。
「オルジェス、私だ、ベルナールだ。
もう大丈夫だからな…」
「ベル…ナール…」
「そうだ。オルジェス。ベルナールだ。
すぐに楽になるから頑張るのだぞ。
さぁ、ルキティア、血を…」
ベルナールは、オルジェスを抱き抱え口を開かせた。
「オルジェス、ゆっくりと飲み込むのだ。
無理はするな…少しずつ…少しずつ…ゆっくりとな。」
ベルナールには言われるままに、オルジェスはゆっくりとその血をすすった。
何度か咳き込み、すすった血を何度か吐き戻しながらもオルジェスはルキティアの生温かい血の感触に酔いしれた。
「美味いだろう、オルジェス…
ようし、このくらいで良いだろう。
……ルキティア、使用人を呼んでオルジェスの手当てをさせろ。」
ルキティアは言われた通りに、使用人を呼び、オルジェスを引き渡した。
「良い子だ…」
ベルナールは、ルキティアのドレスを引き千切ると、それを細く裂き、彼女の腕に巻きつけた。
「あんた、ベルナールって言うんだね。
ベルナール、あんたの言うことはちゃんと聞いたよ…だから…」
出血のせいか、どこか焦点のはずれた眼差しを向けるルキティアの唇が、ベルナールの唇をねっとりと塞ぐ。
「……あぁ、わかっている…
おまえが満足するまで可愛がってやろう…」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

5人の小さな色彩人との物語
中村音音(なかむらねおん)
ファンタジー
かつて5人の小さな人の物語に着手したことがある。
5人ともそろいもそろってあまりに奔放なものだから物語が散り散りに飛んでいき、空中分解するみたいにして頓挫した作品だった。
パソコンの中に棲む小人という設定に華やかさはなく、だから彼らに与えた姿はモノトーン。地味だけど着々と描いてきたのに。
彼らは、おとなしい活躍など最初から望んではいなかった。
それがある時、自らに色をつけ、向こうから再登場してきたではないか。
作者であるぼくをさしおき、彼らは自由意思で活動し始めようとしている。
なんのために?
ぼくのものだったはずの物語は、ある瞬間を境に彼らの物語にすり替わった。
彼らの目的はなにか?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
【電子書籍発売に伴い作品引き上げ】私が妻でなくてもいいのでは?
キムラましゅろう
恋愛
夫には妻が二人いると言われている。
戸籍上の妻と仕事上の妻。
私は彼の姓を名乗り共に暮らす戸籍上の妻だけど、夫の側には常に仕事上の妻と呼ばれる女性副官がいた。
見合い結婚の私とは違い、副官である彼女は付き合いも長く多忙な夫と多くの時間を共有している。その胸に特別な恋情を抱いて。
一方私は新婚であるにも関わらず多忙な夫を支えながら節々で感じる女性副官のマウントと戦っていた。
だけどある時ふと思ってしまったのだ。
妻と揶揄される有能な女性が側にいるのなら、私が妻でなくてもいいのではないかと。
完全ご都合主義、ノーリアリティなお話です。
誤字脱字が罠のように点在します(断言)が、決して嫌がらせではございません(泣)
モヤモヤ案件ものですが、作者は元サヤ(大きな概念で)ハピエン作家です。
アンチ元サヤの方はそっ閉じをオススメいたします。
あとは自己責任でどうぞ♡
小説家になろうさんにも時差投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる