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復讐の連鎖

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「なんてことだ…」

ランディは、両手で頭を抱え、それ以上口を開かなかった。
 遺体さえ残らない異常な焼け方と聞き、アズラエルとランディの頭には「悪魔の炎」と言う言葉と共に、ルークとオルジェスの顔が浮かんでいた。

ランディの父親はローリーを受け止めた時に大腿部を骨折し、今は、養生を兼ねてベルギュームの弟夫婦の家に身を寄せているということだった。
サマンサは、祖父に付き添っているとのことを聞き、ランディはほっと胸を撫で下ろした。



 「だけど、ローリーが……」

 話す両親の表情がにわかに曇った。



 「どうしたんです?
ローリーも怪我をしたんですか?」

 「そうじゃないんだけど…ショックのせいか、あれ以来様子がおかしいのよ。」

 「父さん、ローリーはあの日以来何もしゃべらないんだ。
 誰とも会わないし、一人でずっと部屋に閉じこもってるよ。」

 「しばらくしたら良くなるかと思ってたんだけど、ちっともよくならないから明日にでも町のお医者様にみせにいこうと話してた所なのよ。」

 「そうだったんですか…」

ランディはローリーに会いたいと懇願したが、今はショックを受けさせたくないとのことでキャシーは頑なに拒否をした。

その晩、キャシーとランディは今後のことについて話しあった。
キャシーは、これ以上、ルークのことにかまけて家を放り出すつもりならきっぱりと離婚してくれと詰め寄り、ランディはその返答に困惑した。
アズラエルはその間に部屋を抜け出し、トレルの元へ戻った。



 *



 「なんだって!コージーが!!」

アズラエルの衝撃的な話に、トレルは煙草の灰が落ちたことにも気付かなかった。



 「あぁ…なんでも、ローリーを助け出した後、大きな音がしてそのまま出て来なかったらしいんだ。
おそらく、焼け落ちた建物の下敷きになって…」

 「可哀想に……あの子は次男なんだが、小さい頃からルークよりもしっかりしていてな。
 兄弟思いのとても良い子だったよ…
なんてことだ…俺は、ランディやキャシーになんといって詫びれば良いのか…」

 「……遺体さえ残らないような焼け方は、悪魔の炎以外に考えられない。
 辛い事だが、オルジェスがやった
 ことは間違いないだろう…」

 「くっ…」

トレルは、唇をきつく噛み締め、拳をテーブルに叩き付けた。
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