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復讐の連鎖
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ベルナールが、ルキティアのことを知ったのは、偶然のことだった。
ラグラの森でオルジェスと別れ、先に戻ったベルナールは、その晩、一人で町の酒場へ出掛けた。
そこで、近くの席に座った三流悪魔の二人組みに気付き、特に大きな意図はないまま、一緒に酒を酌み交わした。
その時に、話題にあがっていたのがルキティアだった。
ルキティアという上級悪魔は、その素晴らしい肉体と性欲の強さで有名な悪魔だという。
彼女の肉体に溺れた男は、精を吸い取られるように最期には命を落とし、ルキティアはその度に相手の心臓を食らっては強大な力を得て行ったのだという。
「あいつは、男の上級悪魔でさえ、適わないと言われてる。
なにしろ、数え切れない程の心臓を食らってるって話だからな。」
「人間の男なんて、一日も持たずに死んじまうって話だぜ。
まぁ、もっともルキティアって女はものすごく高飛車な女で、人間なんてよほどのことでもなきゃ相手にはしないけどな。
悪魔も上級悪魔で綺麗な男しか相手にしないんだ。
あんたなら…まぁ見た目には合格かもしれない
が、アッチの方がついていけないだろうな…」
三流悪魔達はベルナールをみつめ、にやにやと下品な笑みを浮かべた。
「そんなに強い女なら、一度お手合わせ願いたいもんだな…」
ベルナールのその言葉に、男達は歓声をあげ、声を出して笑った。
「やめとけ、やめとけ。
干物みたいにされた上に、心臓を食われるぞ。
あいつは、悪魔の中でも特別残忍で非情な女だ。
男に愛情なんて持ち合わせちゃいないんだ。
自分の欲を満たす道具としか見ちゃいない。」
「……実に興味深い女だな。
それで、その女はどこにいる?」
もちろん、ベルナールはオルジェスを殺されても良いと思っているわけではなかった。
おそらく、オルジェスはルキティアには適わない。
女に負けた屈辱をバネとして、オルジェスが本気で強くなりたいと感じるようにと、ベルナールは考えたのだ。
オルジェスが危険な時には当然助けに行くが、なるべく酷く無様に傷付く事をベルナールは願っていた。
(そうでなければ、性根が入らんからな…)
ベルナールは、心の中でそう呟くと、ワイングラス
を傾けながら、僅かに口端を上げた。
ラグラの森でオルジェスと別れ、先に戻ったベルナールは、その晩、一人で町の酒場へ出掛けた。
そこで、近くの席に座った三流悪魔の二人組みに気付き、特に大きな意図はないまま、一緒に酒を酌み交わした。
その時に、話題にあがっていたのがルキティアだった。
ルキティアという上級悪魔は、その素晴らしい肉体と性欲の強さで有名な悪魔だという。
彼女の肉体に溺れた男は、精を吸い取られるように最期には命を落とし、ルキティアはその度に相手の心臓を食らっては強大な力を得て行ったのだという。
「あいつは、男の上級悪魔でさえ、適わないと言われてる。
なにしろ、数え切れない程の心臓を食らってるって話だからな。」
「人間の男なんて、一日も持たずに死んじまうって話だぜ。
まぁ、もっともルキティアって女はものすごく高飛車な女で、人間なんてよほどのことでもなきゃ相手にはしないけどな。
悪魔も上級悪魔で綺麗な男しか相手にしないんだ。
あんたなら…まぁ見た目には合格かもしれない
が、アッチの方がついていけないだろうな…」
三流悪魔達はベルナールをみつめ、にやにやと下品な笑みを浮かべた。
「そんなに強い女なら、一度お手合わせ願いたいもんだな…」
ベルナールのその言葉に、男達は歓声をあげ、声を出して笑った。
「やめとけ、やめとけ。
干物みたいにされた上に、心臓を食われるぞ。
あいつは、悪魔の中でも特別残忍で非情な女だ。
男に愛情なんて持ち合わせちゃいないんだ。
自分の欲を満たす道具としか見ちゃいない。」
「……実に興味深い女だな。
それで、その女はどこにいる?」
もちろん、ベルナールはオルジェスを殺されても良いと思っているわけではなかった。
おそらく、オルジェスはルキティアには適わない。
女に負けた屈辱をバネとして、オルジェスが本気で強くなりたいと感じるようにと、ベルナールは考えたのだ。
オルジェスが危険な時には当然助けに行くが、なるべく酷く無様に傷付く事をベルナールは願っていた。
(そうでなければ、性根が入らんからな…)
ベルナールは、心の中でそう呟くと、ワイングラス
を傾けながら、僅かに口端を上げた。
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