上 下
187 / 355
さらなる復讐

53

しおりを挟む
「……冗談だよ。
そんな顔するなって。
だけど、その分、今よりも強くなれよ!
これからは今まで以上におまえのことを鍛えてやるからな!」

 「オルジェス…僕……
別に…悪魔が……どうのこうのってことじゃなくて…」

ルークの言葉は歯切れの悪いものだった。



 「あぁ…わかってるさ…
さぁ、もう寝るぞ…俺、明日は忙しいからな。」

そう言うと、オルジェスはルークに背を向け、目を閉じた。
 微かに感じた寂しさを忘れようとするかのように…







 「さっきよりは、遠くに飛べたな。
だが、方角が少しずれている。
そのことに気を付けて……よし、もう一度だ!」

 朝早くに宿を出たベルナールとオルジェスは、リュタンの住むラグラの森を目指した。
 一度もラグラの森を訪れたことのないオルジェスにとっては目標設定もままならず、ベルナールに言われた通りの方角に飛ぶのが精一杯だった。

 少しだけ休ませてくれ…何度もその言葉を口にしそうになるのをこらえ、オルジェスは何度も移動を繰り返し、ふと気付くといつの間にかあたりは夕闇に染まっていた。



 「……少し休むとするか。」

そう言ったのはベルナールの方だった。



 「俺なら平気だ。
まだ……やれる!」

 汗にまみれ、苦しい息遣いの元で、オルジェスは気丈にそう言い張った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私を虐げた人には絶望を ~貧乏令嬢は悪魔と呼ばれる侯爵様と契約結婚する~

香木あかり
恋愛
 「あなた達の絶望を侯爵様に捧げる契約なの。だから……悪く思わないでね?」   貧乏な子爵家に生まれたカレン・リドリーは、家族から虐げられ、使用人のように働かされていた。   カレンはリドリー家から脱出して平民として生きるため、就職先を探し始めるが、令嬢である彼女の就職活動は難航してしまう。   ある時、不思議な少年ティルからモルザン侯爵家で働くようにスカウトされ、モルザン家に連れていかれるが……  「変わった人間だな。悪魔を前にして驚きもしないとは」   クラウス・モルザンは「悪魔の侯爵」と呼ばれていたが、本当に悪魔だったのだ。   負の感情を糧として生きているクラウスは、社交界での負の感情を摂取するために優秀な侯爵を演じていた。   カレンと契約結婚することになったクラウスは、彼女の家族に目をつける。   そしてクラウスはカレンの家族を絶望させて糧とするため、動き出すのだった。  「お前を虐げていた者たちに絶望を」  ※念のためのR-15です  ※他サイトでも掲載中

惰眠童子と呼ばれた鬼

那月
ファンタジー
酒呑童子が酒を飲んでばかりいる鬼なら、惰眠童子は寝てばかりいる鬼だ。 深い深い眠りの中に心を沈めていた惰眠童子は突如として、人間の少女に叩き起こされた。 「あたしの守護神になって、あたしを守って頂戴」 何度も死にかけた。その代わり、家族が代わりに死んだ。 もう身代わりになる人はいない。だから、今度はあたしが死ぬ。 それでもいい。 ただ、高校を卒業するまでの1週間。何が何でも守ってほしい。 惰眠童子はただならぬ雰囲気をまとう少女に仕方なく、とっても嫌々、承諾。 少女を狙う数々の不幸。巻き込まれる惰眠童子。 人為的な不幸。災い。とても、人間が成せるものではない。 人外には人外を 惰眠童子は大昔馴染みを頼り、力を借りる。 やがて少女がなぜ何度も死にかけるのか、なぜ集中的に災いが起こるのかを知る。 その意味を知った時が、少女の終わりと惰眠童子の始まりである。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

udonlevel2
ファンタジー
昔やっていたゲームに、大型アップデートで追加されたソレは、小さな箱庭の様だった。 ビーチがあって、畑があって、釣り堀があって、伐採も出来れば採掘も出来る。 ビーチには人が軽く住めるくらいの広さがあって、畑は枯れず、釣りも伐採も発掘もレベルが上がれば上がる程、レアリティの高いものが取れる仕組みだった。 時折、海から流れつくアイテムは、ハズレだったり当たりだったり、クジを引いてる気分で楽しかった。 だから――。 「リディア・マルシャン様のスキルは――箱庭師です」 異世界転生したわたくし、リディアは――そんな箱庭を目指しますわ! ============ 小説家になろうにも上げています。 一気に更新させて頂きました。 中国でコピーされていたので自衛です。 「天安門事件」

なんだって? 俺を追放したSS級パーティーが落ちぶれたと思ったら、拾ってくれたパーティーが超有名になったって?

名無し
ファンタジー
「ラウル、追放だ。今すぐ出ていけ!」 「えっ? ちょっと待ってくれ。理由を教えてくれないか?」 「それは貴様が無能だからだ!」 「そ、そんな。俺が無能だなんて。こんなに頑張ってるのに」 「黙れ、とっととここから消えるがいい!」  それは突然の出来事だった。  SSパーティーから総スカンに遭い、追放されてしまった治癒使いのラウル。  そんな彼だったが、とあるパーティーに拾われ、そこで認められることになる。 「治癒魔法でモンスターの群れを殲滅だと!?」 「え、嘘!? こんなものまで回復できるの!?」 「この男を追放したパーティー、いくらなんでも見る目がなさすぎだろう!」  ラウルの神がかった治癒力に驚愕するパーティーの面々。  その凄さに気が付かないのは本人のみなのであった。 「えっ? 俺の治癒魔法が凄いって? おいおい、冗談だろ。こんなの普段から当たり前にやってることなのに……」

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

私がいつの間にか精霊王の母親に!?

桜 あぴ子(旧名:あぴ子)
ファンタジー
サラは幼い頃から学ばなくても魔法が使えた。最近では思っただけで、魔法が使えるまでに。。。 精霊に好かれる者は、強力な魔法が使える世界。その中でも精霊の加護持ちは特別だ。当然サラも精霊の加護持ちだろうと周りから期待される中、能力鑑定を受けたことで、とんでもない称号がついていることが分かって⁉️ 私が精霊王様の母親っ?まだ、ピチピチの10歳で初恋もまだですけど⁉️

稀代の大賢者は0歳児から暗躍する〜公爵家のご令息は運命に抵抗する〜

撫羽
ファンタジー
ある邸で秘密の会議が開かれていた。 そこに出席している3歳児、王弟殿下の一人息子。実は前世を覚えていた。しかもやり直しの生だった!? どうしてちびっ子が秘密の会議に出席するような事になっているのか? 何があったのか? それは生後半年の頃に遡る。 『ばぶぁッ!』と元気な声で目覚めた赤ん坊。 おかしいぞ。確かに俺は刺されて死んだ筈だ。 なのに、目が覚めたら見覚えのある部屋だった。両親が心配そうに見ている。 しかも若い。え? どうなってんだ? 体を起こすと、嫌でも目に入る自分のポヨンとした赤ちゃん体型。マジかよ!? 神がいるなら、0歳児スタートはやめてほしかった。 何故だか分からないけど、人生をやり直す事になった。実は将来、大賢者に選ばれ魔族討伐に出る筈だ。だが、それは避けないといけない。 何故ならそこで、俺は殺されたからだ。 ならば、大賢者に選ばれなければいいじゃん!と、小さな使い魔と一緒に奮闘する。 でも、それなら魔族の問題はどうするんだ? それも解決してやろうではないか! 小さな胸を張って、根拠もないのに自信満々だ。 今回は初めての0歳児スタートです。 小さな賢者が自分の家族と、大好きな婚約者を守る為に奮闘します。 今度こそ、殺されずに生き残れるのか!? とは言うものの、全然ハードな内容ではありません。 今回も癒しをお届けできればと思います。

処理中です...