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さらなる復讐
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*
(あれからもう五日…
いくらなんでも、狩りにこんなに時間がかかるもんだろうか?
やっぱり、彼らは僕に見切りを付けて……)
あれからルークは、毎日窓辺に座っては、日がな一日、オルジェス達の帰りを待っていた。
だが、彼の探す人物の姿はどこにも見当たらず、今日もまた気付けば太陽が沈もうとしていた。
(今日も帰って来なかった…)
滅入る気持ちでルークが窓を閉めようとした時、宿の前に一台の馬車が乗りつけられた。
開いた扉から降り立ったのは、ルークの待ちわびた人物の姿だった。
「オルジェス!!」
思わず発したルークの大きな声に、オルジェスは宿を見上げ大きく手を振る。
ルークは、窓を閉めることも忘れ、部屋を飛び出し階段を駆け下りた。
「オルジェス!!」
「ルーク、戻ってたんだな。」
ルークは無邪気な子犬のようにオルジェスの胸に向かって飛びこんだ。
オルジェスは、そんなルークに目を細め、愛しそうに微笑んだ。
「ルーク、待たせてすまなかったな…
ずいぶんと待ったのか?」
「あ…ベルナール…
いや、そうでもないよ、
僕の方が五日早かっただけだよ。」
「そうか…とにかく、部屋でゆっくり話すとするか。」
そう言いながら肩を叩いたベルナールを、ルークはじっとみつめる。
「どうかしたのか?」
「……なんでもないよ。
ただ、なんとなくベルナールの雰囲気が変わった気がして…」
「変わった…?
……そうかもしれないな……」
オルジェスはどこかおかしそうにそう呟いた。
*
「それで、ルーク…
どうだったんだ?
……仕事はうまくやれたのか?」
食事の席で、オルジェスの聞きたくても聞けなかった話をベルナールがすんなりと切り出した。
オルジェスは、ルークが返事をするのを固唾を飲んで見守った。
「いろいろ話すことがあるから、順番に話すよ。
まず…小人の村には入ることが出来た。」
「じゃあ、ルークは…!」
「……ランディかトレルの子だということだ。
……ルークにはやはり悪魔の血は混じってはいなかった。」
その言葉に、オルジェスはなんとも言えない複雑な想いを感じた。
悪魔の血が混じっていないルークに対する羨望のような、またその逆のような想い、そして、トレルの子だったとしたら本当の兄弟なのだという嬉しさと同時に、あんな男の子であると思うとルークが気の毒でたまらない気持ちが入り混じり、オルジェスの胸はかき乱された。
(あれからもう五日…
いくらなんでも、狩りにこんなに時間がかかるもんだろうか?
やっぱり、彼らは僕に見切りを付けて……)
あれからルークは、毎日窓辺に座っては、日がな一日、オルジェス達の帰りを待っていた。
だが、彼の探す人物の姿はどこにも見当たらず、今日もまた気付けば太陽が沈もうとしていた。
(今日も帰って来なかった…)
滅入る気持ちでルークが窓を閉めようとした時、宿の前に一台の馬車が乗りつけられた。
開いた扉から降り立ったのは、ルークの待ちわびた人物の姿だった。
「オルジェス!!」
思わず発したルークの大きな声に、オルジェスは宿を見上げ大きく手を振る。
ルークは、窓を閉めることも忘れ、部屋を飛び出し階段を駆け下りた。
「オルジェス!!」
「ルーク、戻ってたんだな。」
ルークは無邪気な子犬のようにオルジェスの胸に向かって飛びこんだ。
オルジェスは、そんなルークに目を細め、愛しそうに微笑んだ。
「ルーク、待たせてすまなかったな…
ずいぶんと待ったのか?」
「あ…ベルナール…
いや、そうでもないよ、
僕の方が五日早かっただけだよ。」
「そうか…とにかく、部屋でゆっくり話すとするか。」
そう言いながら肩を叩いたベルナールを、ルークはじっとみつめる。
「どうかしたのか?」
「……なんでもないよ。
ただ、なんとなくベルナールの雰囲気が変わった気がして…」
「変わった…?
……そうかもしれないな……」
オルジェスはどこかおかしそうにそう呟いた。
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「それで、ルーク…
どうだったんだ?
……仕事はうまくやれたのか?」
食事の席で、オルジェスの聞きたくても聞けなかった話をベルナールがすんなりと切り出した。
オルジェスは、ルークが返事をするのを固唾を飲んで見守った。
「いろいろ話すことがあるから、順番に話すよ。
まず…小人の村には入ることが出来た。」
「じゃあ、ルークは…!」
「……ランディかトレルの子だということだ。
……ルークにはやはり悪魔の血は混じってはいなかった。」
その言葉に、オルジェスはなんとも言えない複雑な想いを感じた。
悪魔の血が混じっていないルークに対する羨望のような、またその逆のような想い、そして、トレルの子だったとしたら本当の兄弟なのだという嬉しさと同時に、あんな男の子であると思うとルークが気の毒でたまらない気持ちが入り混じり、オルジェスの胸はかき乱された。
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