183 / 355
さらなる復讐
49
しおりを挟む
*
(あれからもう五日…
いくらなんでも、狩りにこんなに時間がかかるもんだろうか?
やっぱり、彼らは僕に見切りを付けて……)
あれからルークは、毎日窓辺に座っては、日がな一日、オルジェス達の帰りを待っていた。
だが、彼の探す人物の姿はどこにも見当たらず、今日もまた気付けば太陽が沈もうとしていた。
(今日も帰って来なかった…)
滅入る気持ちでルークが窓を閉めようとした時、宿の前に一台の馬車が乗りつけられた。
開いた扉から降り立ったのは、ルークの待ちわびた人物の姿だった。
「オルジェス!!」
思わず発したルークの大きな声に、オルジェスは宿を見上げ大きく手を振る。
ルークは、窓を閉めることも忘れ、部屋を飛び出し階段を駆け下りた。
「オルジェス!!」
「ルーク、戻ってたんだな。」
ルークは無邪気な子犬のようにオルジェスの胸に向かって飛びこんだ。
オルジェスは、そんなルークに目を細め、愛しそうに微笑んだ。
「ルーク、待たせてすまなかったな…
ずいぶんと待ったのか?」
「あ…ベルナール…
いや、そうでもないよ、
僕の方が五日早かっただけだよ。」
「そうか…とにかく、部屋でゆっくり話すとするか。」
そう言いながら肩を叩いたベルナールを、ルークはじっとみつめる。
「どうかしたのか?」
「……なんでもないよ。
ただ、なんとなくベルナールの雰囲気が変わった気がして…」
「変わった…?
……そうかもしれないな……」
オルジェスはどこかおかしそうにそう呟いた。
*
「それで、ルーク…
どうだったんだ?
……仕事はうまくやれたのか?」
食事の席で、オルジェスの聞きたくても聞けなかった話をベルナールがすんなりと切り出した。
オルジェスは、ルークが返事をするのを固唾を飲んで見守った。
「いろいろ話すことがあるから、順番に話すよ。
まず…小人の村には入ることが出来た。」
「じゃあ、ルークは…!」
「……ランディかトレルの子だということだ。
……ルークにはやはり悪魔の血は混じってはいなかった。」
その言葉に、オルジェスはなんとも言えない複雑な想いを感じた。
悪魔の血が混じっていないルークに対する羨望のような、またその逆のような想い、そして、トレルの子だったとしたら本当の兄弟なのだという嬉しさと同時に、あんな男の子であると思うとルークが気の毒でたまらない気持ちが入り混じり、オルジェスの胸はかき乱された。
(あれからもう五日…
いくらなんでも、狩りにこんなに時間がかかるもんだろうか?
やっぱり、彼らは僕に見切りを付けて……)
あれからルークは、毎日窓辺に座っては、日がな一日、オルジェス達の帰りを待っていた。
だが、彼の探す人物の姿はどこにも見当たらず、今日もまた気付けば太陽が沈もうとしていた。
(今日も帰って来なかった…)
滅入る気持ちでルークが窓を閉めようとした時、宿の前に一台の馬車が乗りつけられた。
開いた扉から降り立ったのは、ルークの待ちわびた人物の姿だった。
「オルジェス!!」
思わず発したルークの大きな声に、オルジェスは宿を見上げ大きく手を振る。
ルークは、窓を閉めることも忘れ、部屋を飛び出し階段を駆け下りた。
「オルジェス!!」
「ルーク、戻ってたんだな。」
ルークは無邪気な子犬のようにオルジェスの胸に向かって飛びこんだ。
オルジェスは、そんなルークに目を細め、愛しそうに微笑んだ。
「ルーク、待たせてすまなかったな…
ずいぶんと待ったのか?」
「あ…ベルナール…
いや、そうでもないよ、
僕の方が五日早かっただけだよ。」
「そうか…とにかく、部屋でゆっくり話すとするか。」
そう言いながら肩を叩いたベルナールを、ルークはじっとみつめる。
「どうかしたのか?」
「……なんでもないよ。
ただ、なんとなくベルナールの雰囲気が変わった気がして…」
「変わった…?
……そうかもしれないな……」
オルジェスはどこかおかしそうにそう呟いた。
*
「それで、ルーク…
どうだったんだ?
……仕事はうまくやれたのか?」
食事の席で、オルジェスの聞きたくても聞けなかった話をベルナールがすんなりと切り出した。
オルジェスは、ルークが返事をするのを固唾を飲んで見守った。
「いろいろ話すことがあるから、順番に話すよ。
まず…小人の村には入ることが出来た。」
「じゃあ、ルークは…!」
「……ランディかトレルの子だということだ。
……ルークにはやはり悪魔の血は混じってはいなかった。」
その言葉に、オルジェスはなんとも言えない複雑な想いを感じた。
悪魔の血が混じっていないルークに対する羨望のような、またその逆のような想い、そして、トレルの子だったとしたら本当の兄弟なのだという嬉しさと同時に、あんな男の子であると思うとルークが気の毒でたまらない気持ちが入り混じり、オルジェスの胸はかき乱された。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。


『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

「宮廷魔術師の娘の癖に無能すぎる」と婚約破棄され親には出来損ないと言われたが、厄介払いと嫁に出された家はいいところだった
今川幸乃
ファンタジー
魔術の名門オールストン公爵家に生まれたレイラは、武門の名門と呼ばれたオーガスト公爵家の跡取りブランドと婚約させられた。
しかしレイラは魔法をうまく使うことも出来ず、ブランドに一方的に婚約破棄されてしまう。
それを聞いた宮廷魔術師の父はブランドではなくレイラに「出来損ないめ」と激怒し、まるで厄介払いのようにレイノルズ侯爵家という微妙な家に嫁に出されてしまう。夫のロルスは魔術には何の興味もなく、最初は仲も微妙だった。
一方ブランドはベラという魔法がうまい令嬢と婚約し、やはり婚約破棄して良かったと思うのだった。
しかしレイラが魔法を全然使えないのはオールストン家で毎日飲まされていた魔力増加薬が体質に合わず、魔力が暴走してしまうせいだった。
加えて毎日毎晩ずっと勉強や訓練をさせられて常に体調が悪かったことも原因だった。
レイノルズ家でのんびり過ごしていたレイラはやがて自分の真の力に気づいていく。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

「お前と居るとつまんねぇ」〜俺を追放したチームが世界最高のチームになった理由(わけ)〜
大好き丸
ファンタジー
異世界「エデンズガーデン」。
広大な大地、広く深い海、突き抜ける空。草木が茂り、様々な生き物が跋扈する剣と魔法の世界。
ダンジョンに巣食う魔物と冒険者たちが日夜戦うこの世界で、ある冒険者チームから1人の男が追放された。
彼の名はレッド=カーマイン。
最強で最弱の男が織り成す冒険活劇が今始まる。
※この作品は「小説になろう、カクヨム」にも掲載しています。

捨てられた妻は悪魔と旅立ちます。
豆狸
恋愛
いっそ……いっそこんな風に私を想う言葉を口にしないでくれたなら、はっきりとペルブラン様のほうを選んでくれたなら捨て去ることが出来るのに、全身に絡みついた鎖のような私の恋心を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる