深淵に眠る十字架 The second

さらなる復讐

３７

「シャール、花瓶だ！」

オルジェスとベルナールが、エドガーを押さえこみ、アクタリアの花瓶の水をエドガーの口の中に流しこむ。
エドガーは、咳き込みながらそれでも必死に抵抗し、反撃を始めた。
 彼の足元がおぼつかなくなっていたことが幸いし、三人は傷を負いながらも、なんとかエドガーと渡り合うことが出来た。
そのうち、エドガーの力が少しずつ弱まって来るのが三人にも感じられた。
エドガーは口許を押さえ、ふらふらと力なく歩くとその場に倒れ、胃の中のものを吐き戻す。




 「少しは効果があったか…」

すかさず、そこで三人の制裁は頂点を極める。



……やがて、エドガーの動きが停まった。
 彼は、無数の刺し傷による出血とアクタリアの毒によって、すでに虫の息となっていた。



 「ありがとう、オルジェス、ベルナール！
 君のおかげでエドガーを倒す事が出来た！」

 興奮したシャールは、まさに今、この瞬間にも死に絶えようとしているエドガーを蹴り飛ばした。



 「良かったな、シャール。」

 「本当にありがとう……これで彼女の仇を討つことが出来た。
 留めは僕に刺させてくれるかい？」



 「……残念だが、それは出来ない…」

 「え……？ベルナール…なぜ？なぜ、だめなんだい？」

 「それはな…」

シャールの顔が一瞬にして苦痛に歪んだ。



 「……ベルナール…
 ……どう…いう……こと…？」

 「シャール…後のことは心配するな。
 私達がきっちり始末をつけてやるからな…」

シャールの胸に深く刺さったナイフをベルナールが引き抜くと、赤い血が噴き出し彼の身体がどさりと崩れ落ちた。