深淵に眠る十字架 The second

ルカ(聖夜月ルカ)

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ゲームの始まり

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(あれは……)


トレルの家の近くで身を潜めるベルナールは、家の中に柩が運び込まれるのを確認した。



(オルジェスの奴…うまくやったようだな…
トレルに最後の挨拶が出来なかったのが残念だ…)

ベルナールの口端が冷ややかに上がる。







「オルジェス…よくやったな。」

「ベルナール、どこに行ってたんだ?」

「おまえの家の近くにな…
今、柩が運び込まれていた。」

オルジェスの顔から血の気が引いていく…



「どうした、オルジェス?」

「な…なんでもない。」

「たいしたもんだ。
おまえは、悪魔の男とトレル…もう二人の男の命を奪った…
おまえなら、きっと周りから一目置かれる上級悪魔になれるぞ。」

オルジェスは俯いたまま、何も答えなかった。



「エルスールも上級悪魔だったからな。
元々、おまえにはそういう素質があったのだろうな…」

そう言いながら、ベルナールはゆっくりとルークの方に向き直る。



「ルーク…おまえはもうサーリックの村に帰ったらどうだ?」

「えっ…?!」

「……おまえは、私やオルジェスとは違う…
このまま私達と一緒にいても仕方がないのではないか?」

「僕が…僕が何も出来ないから?
いつも失敗ばかりしてるからなのかい?」

「……ルーク…
きっと、おまえには悪魔の血は交じっていないのだ。
オルジェスはどんどん悪魔としての血が濃くなっている…
今までは人間の世界で暮らしていたが、オルジェスは今後は悪魔との関わりの方が強くなっていくだろう…
おまえとは、住む世界が違うのだ。」

「そ…そんな…」

ベルナールは、ルークに背を向けた。



「サーリックに戻りにくいのなら、どこか別の町に行ったらどうだ?」

ベルナールはルークに背を向けたままでそう言った。



「いやだ…!
僕は…君達と一緒にいたい!
……そうだ!僕にイアンを殺らせておくれよ!
僕がイアンを殺って、その心臓を食べて悪魔になる…」

その言葉にベルナールは振り向き、ルークの顔をみつめると、腹を抱えて笑い始めた。
いつもよりも高い声で…


「おまえが、イアンを殺して悪魔になる?
それは面白い…!
やれるものならやってみろ。
もしも、うまくやれたら…これからもおまえと一緒にいてやろう。」

ルークはベルナールを睨みつけながら、唇を噛み締めた。
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