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ゲームの始まり

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(もしも、その男がオルジェスに着いてサーリックまで来ていたとしても、村ではその姿をあまり見られることはないということか…
サーリックより先の町でそいつがオルジェス達と一緒かどうかの足取りがつかめれば、もっと詳しいこともわかるのだが…ザルファは今、どこにいるのだろう…?)

アズラエルにはどうしてもその金髪の青年の存在が、今回のいざこざの鍵を握っているように思えてならなかった。



「サマンサ…二人は、君に何か言わなかったか?」

サマンサはその言葉に顔色を変えて俯き、口許を押さえた。



「すまない…嫌な記憶を思い出させてしまったようだな。
本当にすまない…もうこの話はやめよう。」

サマンサが込み上げる感情を必死で抑えているのがアズラエルにはよくわかった。
よみがえった恐怖のためか彼女の身体が小刻みに震える…



「サマンサ、朝までしばらくここで休みなさい。
お母さんのことはもう心配ないからね。」

「……アズラエルさん……」

サマンサの涙で潤んだ瞳が、アズラエルをじっとみつめる…



「……オルジェスは…あの時、ルークに言ったんです。
何も出来ないでいたルークに向かって…
『おまえの両親のされたことを思い出せ!』って…
そしたら…ルークは…」

サマンサの声はそのまま嗚咽に変わった。
アズラエルは、サマンサの身体をしっかりと抱き締める。




(「おまえの両親のされたこと」
その一言で、ルークがサマンサを襲ったというのか?
二人がサマンサに恨みなどあるはずはない…
それは、ランディへ向けられた憎しみの代償であることは間違いない…
しかし、ランディがケイトやオルジェに何をしたというのだ?
……誰かが真実を捻じ曲げてオルジェスやルークに伝えている…
事実をよく知らない者なのか、あるいは何らかの目的があって意図的に…?
そんな悪意を持って、嘘を伝える奴がいたとしたら…
それは、一人しかいない…!)



サマンサの話を聞いたアズラエルの胸騒ぎは、さらに大きなものになっていた。
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